
「ECサイトを短期間で始めたい」 「初期費用やサーバー管理コストをできるだけ抑えたい」
そんな悩みを抱える企業や個人事業主の間で、いま選ばれているのがASPカートです。
ASPカートは、クラウド上で提供されるショッピングカートシステムで、
- 初期費用を抑えて短期間でECサイトを立ち上げられる
- サーバー管理やセキュリティ対応が不要で安心
- 定期購入や越境ECなど、多様な販売モデルに対応可能
- 常に最新機能がアップデートされるため競争力を維持できる
などの利用するメリットがあります。ASPカートは、商品登録から決済・配送といったECサイトに求められる機能をワンストップで行えることが魅力です。ASPカートは「手軽さ」と「拡張性」を兼ね備えたECサイト運営のスタンダードになりつつあります。
本記事では、ASPカートの特徴を始め、導入のメリット・デメリット、代表的なサービス、選び方までわかりやすくご紹介します。
目次
ASPカートとはなにか?

引用元: https://pixabay.com/photos/e-commerce-online-commerce-3692440/
ASPカートとは、インターネット上で簡単にECサイトを作成できるクラウド型のショッピングカートサービスのことです。
ASPは「Application Service Provider」の略で、インターネットを通じてアプリケーションを利用できる仕組みを指します。ASPカートは、サービス提供会社のサーバー上にあるショッピングカートを借りて利用するイメージです。
サーバーを用意したり、システムを構築したりといった手間や知識なしで導入できるため、誰でも手軽にECサイトを始められることがASPカートの特徴です。
ASPカートの特徴
ASPカートには、以下の特徴があります。
- クラウド型: インストール不要。インターネット環境があれば、どこからでも利用可能
- 初心者向けの設計: HTML・CSSといったWebサイト作成の知識、サーバー構築の知識がなくてもECサイトを立ち上げられる
- 月額制の料金体系: 多くは月額利用料や販売手数料が発生。無料プランを提供するサービスもある。
- 保守・セキュリティ対応不要: システムの保守・アップデート、セキュリティ対策はサービス提供会社が実施
- 多機能搭載:決済・在庫管理・配送設定・SEO・クーポン・レビューなど、ECサイト運営に必要な機能を搭載
のように、ASPカートは導入が行いやすく、ECサイトを始めたい方が求める機能が揃っています。
どのような人に向いているのか?
ASPカートは「とにかくネットショップを始めたい」と考える方にとって、最適な選択肢といえるでしょう。向いている方の具体的な例は、以下のとおりです。
- ECサイトを手軽に始めたい個人事業主
- 初期コストを抑えてECサイト運営をしたい小規模企業
- スピード重視でECサイトを立ち上げたい企業
- システム管理よりも販売や集客に集中したい企業
ASPカートは、低コストかつ短期間で導入できます。さらにシステム管理をサービス提供会社に任せられるため、販売や集客といった活動に注力可能です。そのため、小規模事業者、新規事業のスピード重視の企業、初めてECサイトを立ち上げる個人事業主にとくに向いています。
事業規模が拡大した際にも、プランのアップグレードやカスタマイズによって柔軟なスケーリングができることもASPカートを選ぶ理由の1つといえるでしょう。
ASPカートのメリット・デメリット

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メリット
初心者でも始められる、導入が早い、低コスト、システム管理が不要といったASPカートを利用するメリットについて解説します。
初心者でもすぐに始められる
ASPカートの導入は、HTMLやプログラミングの知識が不要です。ITに詳しくない初心者でもすぐにECサイトが始められます。デザインテンプレートが用意されているので、商品登録や基本的な設定を行えばECサイトを公開できます。
導入が早い
ASPカートを導入するメリットは、その導入の速さにあります。商品登録・店舗設定・配送料設定などを済ませれば、数時間から数日といった短い期間でECサイトを公開できます。
ASPカートを利用すれば、自社開発のようにサーバーやシステムの構築に時間をかける必要がありません。
コストを抑えられる
ASPカートの導入によって、ECサイトの初期投資を最小限に抑えられます。無料や定額の月額プランを提供するサービスも多く、大きなリスクを背負わずにECサイトを始められます。
システム管理が不要
サーバー管理・セキュリティ対策・システムアップデートといったシステム周りの管理は、すべてサービス提供会社が対応してくれます。ECサイトを運営するうえで、顧客情報の管理や情報漏洩対策は大変重要です。
ASPカートはそのようなシステム周りの対応が不要なため、商品選定や集客といった販売戦略の実施に専念できます。
ECに必要な機能が揃っている
ASPカートの多くには、
- 商品登録
- 注文・顧客管理
- 決済
- 配送設定
- レビュー機能
- クーポン発行
- SEO機能
といったECサイト運営に必要な基本機能が標準搭載されています。そのため、追加の開発やツールなしで、安心してECサイトがスタートできます。
スマホ対応やSNS連携も簡単
ASPカートの多くは、スマホ向けのレスポンシブデザインに対応しています。ECサイトの利用者の多くを占めるモバイルユーザーを意識した対応が基本的に不要です。
また、Instagram・Facebook・Xなどとの連携も簡単に行えるので、SNSを活用した集客や販促がスムーズに行えます。
デメリット
カスタマイズの制約、データの所有の制限、長期的なコストの増大、サービス停止のリスクといったASPカートを利用するデメリットについて解説します。
カスタマイズに限界がある
ASPカートで世界観を打ち出したデザインや特殊な機能を追加したい場合、希望通りにECサイトに実装できない場合があります。ASPカートのカスタマイズには、限界があるからです。
ASPカートは、サービス提供 会社が用意した機能やデザインテンプレートがベースです。提供された範囲内でのカスタマイズとなるため、自社開発よりも自由度は下がります。
データの所有権が完全ではない
顧客情報や販売データはクラウド上に保存されるため、提供会社の運営に依存するリスクがある点に注意が必要です。
ゼロからECサイトを構築した場合とは異なり、すべてのデータを管理することはできません。また、サービスの仕様や規約の変更により、データ活用に制約がかかる可能性があります。
長期的にはコストがかさむ場合も
初期費用は抑えられる一方で、月額料金や販売手数料が重なって、長期的に見るとコストが高くなる場合があります。ECサイトの売上が伸びてくると、販売手数料がネックになることは少なくありません。
ECサイトの運用が軌道に乗ってきた際は、売上とのバランスを考えて手数料の低い契約プランの見直しや、ECパッケージ、オープンソースといった別のEC構築ツールへの移行を検討するとよいでしょう。
サービス停止・仕様変更のリスク
ASPカートは、サービス提供会社のシステムに依存します。仕様変更やサービス停止の影響を受けるリスクがあることを覚えておきましょう。仕様改定によって運営に支障をきたしたり、突然ASPカートが使えなくなったりといった可能性もゼロではありません。
大規模・特殊な事業には不向き
商品点数が非常に多い、大量の注文の処理が必要、複雑な受発注フローが必要なBtoB取引を行いたいといった場合には、ASPカートの標準機能では対応が難しい場合があります。
どのような目的でECサイトを運営するのか、その方針に合わせてパッケージや自社開発といった手段も検討しましょう。
代表的なASPカート一覧

引用元: https://pixabay.com/photos/ecommerce-shopping-cart-buying-3530785/
BASE・STORES・Shopify・イージーマイショップなど、代表的なASPカートについて一覧でご紹介します。
BASE

BASEは初期費用・月額費用がかからず、コスト0円で始められる初心者に最適なASPカートです。テンプレートが豊富で直感的な操作ができるため、Webサイトの構築の知識がなくてもECサイトを開設できます。
BASEはSNSとの連携が強いため、個人や小規模の店舗が情報発信を行って売上アップを目指すという使い方に向いています。
一方で、手数料が高めに設定されており、本格的に売上が増えるとコスト負担が大きくなることがデメリットです。
料金プラン
- スタンダードプラン:初期費用・月額費用0円、決済手数料3.6%+40円、サービス利用料3%
- グロースプラン:初期費用0円、月額費用16,580円、決済手数料2.9%、サービス利用料0円
STORES

STORESは、BASEと並ぶ個人や小規模店舗向けの定番ASPカートです。おしゃれなデザインテンプレートが多く、初心者でも直感的な操作でECサイトの作成が行えます。
無料プランから売上の規模に応じて、有料プランへの切り替えが可能です。また、予約販売やデジタルコンテンツの販売にも対応しています。
一方で、BASEと同様に決済手数料は高めで、カスタマイズが制限されることがデメリットです。
料金プラン
- フリープラン:初期費用0円、月額費用0円、決済手数料5.5%〜
- ベーシックプラン:初期費用0円、月額費用2,980円〜、決済手数料3.6%〜
Shopify

引用元:https://www.shopify.com/jp
Shopifyは世界シェアNo.1のECプラットフォームです。初心者からBtoBの取引を行いたい中規模以上の企業のニーズまで、幅広く対応しています。
デザイン・機能の自由度が高く、アプリによってさまざまな機能を拡張可能です。多言語・多通貨・海外配送に対応しており、海外向けに販売に大きな強みを持ちます。
日本語には対応していますが英語表記が多く、設定もやや複雑なため初心者にはECサイトの構築のハードルが高めです。また、導入時には最低限のECサイト運営に関する知識が求められます。
料金プラン
- Basic:月額料金3,650円〜、決済手数料3.55%、外部決済サービス2%〜
- Grow:10,100円〜、決済手数料3.4%、外部決済サービス1%〜
- Advanced:44,000円〜、決済手数料3.25%、外部決済サービス0.6%〜
- Plus:2,300ドル〜
※すべて初期費用は0円
イージーマイショップ

引用元: https://www.easy-myshop.jp/
イージーマイショップは無料プランからスタートできる中小企業向けのECプラットフォームです。顧客管理や在庫管理など、ECサイトの運営に便利な機能が揃っています。
販売手数料込みのわかりやすい料金体系と、メール配信・顧客管理・予約販売・定期販売といった充実した機能が魅力です。
料金プラン
- 無料版:初期費用0円、月額利用料0円、決済手数料5.0%+40円
- Standard:初期費用3,300円、月額利用料3,900円~、決済手数料3.57%
- Professional:初期費用3,300円、月額利用料8,700円~、決済手数料3.57%
- カートプラン:初期費用3,300円、月額利用料2,900円、決済手数料3.57%
カラーミーショップ

カラーミーショップは、GMOが提供する老舗の国産ASPカートです。日本語によるサポートが手厚く、デザインの自由度も高いため、中小企業の本格的なECサイト運営に適しています。
ただし、初期設定やデザインにはある程度の知識が必要で月額費用も高めのため、初心者にはややハードルが高いASPカートです。
料金プラン
- レギュラー:初期費用3,300円、月額利用料4,950円、決済手数料3.4%〜
- ラージ:初期費用3,300円、月額利用料9,595円、決済手数料3.19%〜
- プレミアム:初期費用 22,000円、月額利用料35,640円〜、2.99%〜
futureshop(フューチャーショップ)

引用元:https://www.future-shop.jp/
futureshopは、大手企業でも導入されている本格的なECサイト構築プラットフォームです。
セグメント配信やレコメンドなどを備えた充実したマーケティング機能が魅力です。大規模なアクセスや売上にも対応できる安定性と充実したサポート体制で、企業のECサイト運営をサポートします。
初期費用・月額費用共に高いため、個人や小規模店舗にはややオーバースペックといえます。
料金プラン
- futureshop:初期費用22,000円(税抜)〜、月額基本料金24,000円(税抜)〜、決済方法に応じた決済手数料
- futureshop omni-channel:初期費用75,200円(税抜)、月額基本料金160,000円(税抜)、決済方法に応じた決済手数料
ASPカートを選ぶ際のポイント

引用元: https://pixabay.com/photos/good-bad-opposite-choice-choose-1123013/
目的との整合性・コスト・使いやすさなど、ASPカートを選ぶ際のポイントについて解説します。
目的・ビジネス規模に合っているか
ASPカートは、ECサイトを運営する目的や商品数・売上目標といったビジネス規模に合わせて選ぶことが大切です。
個人事業主や副業であれば、BASEのような無料プランがあるシンプルなASPカートで十分な場合が多いです。無料で始められるため、ECサイト開設の敷居が低いことも魅力といえるでしょう。
一方、中規模・大規模の本格的なECサイト運営を行う場合には、Shopify・イージーマイショップ・futureshopのような機能が豊富で高機能なASPカートがおすすめです。拡張性が高いので、ブランドの世界観を打ち出す戦略にも対応できます。
越境ECやBtoBなどの複雑な業務フローの実施を見据えるなら、法人向けや特殊な機能を実装できるASPカートを選ぶ必要があります。
必要コストを見極める
月額費用・販売手数料・決済手数料を総合的に把握し、ASPカート運用に必要となるコストを見極めましょう。例えば、無料プランで月額費用が低く抑えられたとしても、売上が大きい場合には手数料によって利益が圧迫されます。
それとは逆に、初期費用や固定費が高いASPカートでも、一定以上の売上があって手数料が低ければ、長期的に見ると費用対効果が高くなる場合もあります。
初期投資を抑えたいのか、長期的なコストパフォーマンスを重視するのかといった観点で判断するとよいでしょう。
使いやすさ・操作性
管理画面が直感的に操作でき、商品登録やデザイン編集がスムーズにできると運営効率が向上します。プログラミングの知識がない方やEC運用の知識がない初心者は、スマホからでも操作できるSTORESのようなASPカートがおすすめです。
また、テンプレートの豊富さやカスタマイズの自由度の高さも、使いやすさに影響するポイントです。操作が難しく複雑な設定が必要なASPカートは、運営の負担が大きくなる可能性があります。
越境EC・多言語・多通貨対応
海外展開を視野に入れる場合には、ASPカートが多言語表示・多通貨決済・関税計算機能などに対応しているか確認が必要です。Shopifyは世界的に展開しているサービスのため、為替変換や現地決済にも強いです。
国内特化型のASPカートは、越境EC向けの機能が限定されるケースが多く見られます。将来的に海外展開を計画しているのであれば、越境ECに対応可能なASPカートを選びましょう。
拡張性・機能性
ASPカートを選ぶ際は、標準機能の充実だけでなく、機能の拡張や追加が行えるかがポイントになります。
定期購入、会員ランク、レコメンド機能、広告・分析ツールなど、必要となる追加機能が用意されているか確認しましょう。ASPカート単体だけでなく、アプリや外部システムとの連携によって機能が追加できる場合もあります。
ECサイトの成長に応じて柔軟に機能できるASPカートは、中長期的な運営において大きな価値を発揮します。
サポート・信頼性
ASPカートを選ぶ際は、トラブル時にメール・チャット・電話によって、迅速に対応してもらえる充実したサポート体制の有無も重要なポイントです。
ASPカートでECサイトを始めると、不明点や問題点が発生する可能性が高いです。その際に、スムーズに解決できるサポート体制がなければ、運用の負担は大きくなります。わかりやすいマニュアルやFAQが整っていると、サポートへの連絡なしで自分自身で問題が解決できます。
運営年数の長さや導入数の多さは、安定性と信頼性の高さの証です。迷った際には、このような信頼性も加味して安心して使い続けられるASPカートを選びましょう。
カートASPに関するよくある質問

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独自ドメインは使えますか?
ASPカートは、基本的に独自ドメインの利用が可能です。ただし、無料プランの場合には使えないサービスもありますので、事前に確認が必要です。
サイト名やブランド名とドメインが一致していると、利用者に安心感が与えられます。できるだけ独自ドメインでのASPカートの運用が好ましいです。
クレジットカード決済はできますか?
クレジットカード決済は、基本的に利用可能です。多くのASPカートは、Visa・Mastercard・JCBといった主要国際ブランドのクレジットカードに対応しています。
ただし、ASPカートによっては一部ブランドに非対応の場合もあります。取り扱いたいブランドがある場合には、予め確認すると確実です。
SEO対策はできますか?
代表的なASPカートであれば、SEO対応機能が備わっていることが多いです。
多くのASPカートには、ブログ機能やWordPressとの連携機能があります。それにより、コンテンツやECサイトのSEOを効果的に進められます。
ただし、ASPカートによってはサイト構造がSEOに弱かったり、機能が限られる場合もあるので注意が必要です。
売上が伸びてきたら別のカートに移行できますか?
結論として、ASPカートの移行は可能です。ただし、移行自体に大きな手間がかかり、会員情報の再登録やパスワード変更といったユーザーへ負担をかけるリスクがあります。
CSVの取り込みによって移行可能なデータもありますが、パスワードやクレジットカードはセキュリティの観点から不可な場合が多く見られます。そのため、移行時にはパスワード変更の依頼といったユーザーへの周知対応も併せて計画しましょう。
移行によって得られるメリットと、負担の発生によるユーザーの減少といったデメリットを考え、ASPカートの移行は慎重に判断する必要があります。
複数の店舗を運営できますか?
複数のECサイトの運営は可能ですが、管理工数が増加する点に注意が必要です。
複数のECサイトを異なるASPカートで運営する際には、在庫管理や顧客対応をそれぞれで行わなければなりません。闇雲に出店を行うと、管理工数の増加によって利益やリソースを圧迫する可能性があります。
複数店舗の管理が行えるシステムを導入し、業務効率化を実現することが多店舗運営の成功のカギです。
セキュリティは大丈夫ですか?
代表的なASPは、SSLやシステム保守といったセキュリティ対策が行われており、安全性が高いです。
ただし、電話番号や住所といった個人情報を扱うため、セキュリティにできるだけ強いサービス提供会社を選ぶのがベターです。
例えば、イージーマイショップは業界トップクラスのセキュリティ対策を行っているため、安全性の高いカートASPといえます。
イージーマイショップは、常時SSL暗号化によりユーザーに安心・安全を提供しています。また、外部の専門機関による脆弱性診断を常時実施しており、客観的なチェックを行っていることもポイントです。
よりセキュリティ対策に強いカートASPを利用したいと考えている方は、イージーマイショップの導入がおすすめです。