
ネットショップを始めようと思っても、実際にどんな「EC機能」が必要なのか迷う方は多いのではないでしょうか。
ECサイトで商品を販売するためには、
- ショッピングカートや配送設定などの決済関連機能
- 商品・在庫管理機能
- 会員・顧客管理機能
- 受注・売上管理機能
- セキュリティ関連機能
- メールやお問い合わせなどの通知・連絡関連機能
など、数多くの機能が必要です。
本記事では、ECサイトに欠かせない必須の機能から、売上アップや顧客満足につながる推奨機能までわかりやすく解説します。
目次
ECサイトに必須の機能

引用元: https://pixabay.com/illustrations/checklist-list-check-mark-business-1919328/
決済関連、商品・在庫管理、受注・売上管理、セキュリティ関連など、ECサイトに必須の機能についてそれぞれ解説します。
カート・決済関連
ECサイトで商品を販売するためにまず必要となるのが、ショッピングカート機能や売上の処理を行う決済機能です。以下で、配送設定・ショッピングカート・注文処理といった、ECサイトの決済関連の必須機能について詳しく解説します。
配送設定機能
ECサイトにおいて、ユーザーに確実に商品を届けるための配送設定は欠かせない機能です。
ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便などの配送会社の指定はもちろん、地域別・金額別・商品別に柔軟に送料が設定できると便利です。
たとえば「北海道・沖縄は1,500円、その他地域は800円」「5,000円以上購入で送料無料」「生鮮食品は冷蔵」など、柔軟に対応できると適切な配送料の設定が行えます。配送不可地域や配送特別地域への配送制限や追加料金設定に対応しておくと、トラブルの未然の防止が可能です。
また、ユーザーが配送日時を指定できる機能も購買体験の満足度向上につながります。とくにギフト需要の高い商品や冷蔵・冷凍商品などを扱う場合には、必須の機能といえます。
ショッピングカート機能
ショッピングカートはECサイトの中心となる機能です。ユーザーが気になる商品をカートに入れて一時的に保存し、まとめて購入できる仕組みが求められます。
ECサイトのショッピングカートには、主に以下の機能が必要です。
- 数量変更や商品削除がスムーズ
- 送料や割引を反映した合計金額の自動計算
- 内容を一定期間保持するカート保持機能
このようなショッピングカート機能が整備されていなければ、買い物途中で離脱してしまうカゴ落ちや二重注文や商品間違いのリスクが高まります。このようなリスクは顧客の満足度に直結し、売上にも影響するので注意が必要です。
決済機能
決済は購入完了の最後のステップであり、ユーザーにとって最も繊細な場面です。ユーザーがスムーズに支払いを行えるように、複数の決済手段に対応することが重要です。
クレジットカード・電子マネー・スマホ決済・銀行振込など、決済手段は多様化しています。そのため、ユーザーのニーズに合った決済手段を用意することで、CV率は大きく異なります。CV率とは、訪問したユーザーが最終的に購入に至る割合を指します。
ECサイトを運用する際は、複数の決済手段に対応したプラットフォームを選びましょう。あるいは、決済代行サービスとECサイトを連携させるという方法もあります。
そのような決済代行サービスを利用すると、不正利用防止機能やセキュリティ対策が標準機能として利用できます。また、決済の成功・失敗時のメール通知や在庫処理の自動化も可能です。
注文処理機能
注文処理機能は、購入確定後のフローを円滑に進めるために欠かせない仕組みです。注文処理機能が整備されていない場合には、在庫の不整合・発送ミス・連絡漏れなどにつながり、顧客満足度の低下につながる恐れがあります。
注文処理における主な機能は以下のとおりです。
- 注文情報の記録・管理:ユーザーの氏名・住所・購入商品・支払い方法などのデータの記録と管理。顧客対応やマーケティングのための分析にも使用可能。
- メールの自動送信:注文完了メール・入金確認メール・発送完了メールなどの自動送信。ユーザー対応のリソースの削減。
- 在庫の自動調整:購入確定時の在庫の自動減算、キャンセル時の在庫の自動加算といった自動調整。欠品や売り逃しといったトラブル防止。
- 注文ステータスの更新:「注文受付→入金確認→発送準備→発送完了」などの注文の進行状況をステータスで管理。ユーザーがマイページで確認できると、問い合わせの削減が可能。
このように、注文処理はバックオフィス業務の効率化と購買体験の向上に関わる重要な機能です。
商品・在庫管理系
在庫管理・商品登録・商品カテゴリ管理といった、ECサイトの商品や在庫に関わる必須機能について解説します。
在庫管理機能
ECサイトの在庫管理機能は、販売状況に応じて在庫数を自動更新し、トラブルを防いで販売を行うための基本機能です。
- 在庫数の自動管理:売上が発生した際にリアルタイムで在庫を減算。手動管理による減算漏れのミスを防止。
- 在庫切れ時の表示変更:在庫が0になった際に「在庫なし」「入荷待ち」などに表示を変更。誤注文やキャンセル防止。
- 管理者への通知設定:在庫数が一定以下になった際にアラートを通知。発注や補充のタイミングを逃さない。
上記が、ECサイトの在庫管理において必要となる主な機能です。このように在庫管理機能は、欠品や売り逃しを防ぐための基本といえるECサイトの機能です。
商品登録・編集機能
商品登録は、ECサイトの売上を左右する重要な機能です。なぜなら、商品ページはユーザーとの接点となり、実店舗における接客の役割を果たすからです。
商品登録・編集機能の基本として、商品名・商品画像・価格・説明の入力が挙げられます。さらに追加情報として、セール価格・在庫数表示・SKUコード登録・発送条件などが細かく編集できると便利です。
また、最近では条件分岐に対応した商品登録機能も重視されています。
たとえばイージーマイショップでは、オーダーメイド商品を注文時にサイズ変更、色変更、ネーム入れ・写真やデータでの加工受付、オプションの選択など、ユーザーがカスタマイズできるバリエーション機能が搭載されています。
このような商品登録機能が搭載されていると、標準商品からカスタマイズ性の高い商品までバリエーション豊かなラインナップを展開可能です。
参照元: セット販売・オーダーメイド商品に強いショッピングカート|ネットショップ開業ならイージー・マイショップ
商品カテゴリ管理
ECサイトで扱っている商品を分類できるカテゴリ管理機能は、サイトの使いやすさを大きく左右します。
メンズ・レディースといった性別、トップス・ボトムス・アクセサリーといった商品属性などに商品を整理することで、ユーザーは目的の商品が見つけやすくなります。
親カテゴリ・子カテゴリの作成により、商品の取り扱い数が多いECサイトでも体系的に商品を表示可能です。
表示順やカテゴリ名は管理画面から簡単に編集でき、カテゴリ一覧の表示にも自動反映されます。カテゴリは、ユーザーの回遊率の向上に直結するため、検索しやすさを意識して設計しましょう。
会員・顧客関連
ECサイトにおける会員・顧客管理機能は、情報の蓄積だけでなく、リピート購入を促す仕組みづくりにも影響します。会員登録やマイページ機能の整備は、ユーザーの利便性向上や継続的な関係構築につながっています。
会員登録・ログイン機能
会員登録は、ユーザーの情報を記録し、データ収集や分析にも役立つECサイトの機能です。
メールアドレスやパスワードの設定により、簡単に基本的な会員登録が可能です。Google・Facebook・LINEアカウントとの連携による簡易ログインを可能にすると、ユーザーの会員登録のハードルを下げられます。
パスワード再発行機能により、万が一の場合のアカウント管理における安心感を提供できます。
マイページ機能
マイページは、ユーザーがログインすることで、注文履歴・特典・会員情報などの確認や編集ができるポータルの役割を果たす機能です。
注文履歴の確認は、過去に購入した商品の確認や注文のステータスをいつでもチェックできます。住所や電話番号といった配送先情報の登録により、次回購入がスムーズになります。配送先情報やパスワードはマイページから変更可能です。
獲得したポイントや利用できるクーポンの確認もマイページで行えると、リピーター施策として効果的です。マイページの充実は、ECサイトへの再訪や再購入を促す役割を果たします。
顧客管理機能
顧客管理は、氏名・メールアドレス・注文履歴などの顧客情報を一元管理するCRM(顧客関係管理)の基盤となる機能です。名前・地域・購入頻度・購入金額などで、顧客情報の検索・絞り込みが行えるため、マーケティング施策に活用できます。
ユーザーの属性からセグメントを切り、メルマガ配信リストに反映が可能です。ユーザーごとに最適化した情報配信を行うことで、メールマーケティングの効果が高められます。
また、顧客情報からリピート率の分析や商品の購入傾向の把握ができます。顧客管理機能は、顧客情報の蓄積だけでなく、データをマーケティングに活かせる仕組みがあるかが重要です。
受注・売上管理系
ECサイトの運営には、受注や売上を正確かつ効率的に運用できる仕組みが必要です。受注や売上を手作業や表計算管理ソフトで処理しているとミスが発生しやすくなり、顧客満足度や経営判断に悪影響を与える可能性も考えられるでしょう。
そのため、多くのECプラットフォームでは、受注・売上管理機能が標準搭載されています。
受注管理機能
受注管理は、ECサイトで注文から発送までのプロセスをスムーズに処理するための機能です。
ECサイトにおける注文内容が一覧で確認でき、注文の購入商品・配送先・決済状況などの詳細を管理できます。「未発送」「入金待ち」「発送待ち」「発送済み」といった注文の進行状況は、自動か状況に応じて手動で更新します。
配送先の変更、商品や数量の変更といったユーザーからの依頼に対して、注文詳細から柔軟に対応可能です。
また、発送後の配送伝票番号の登録や出荷完了メール送信まで一元管理できるので、受注管理機能は出荷処理の進行管理に役立ちます。
売上管理機能
売上管理は、日・月・年といった単位でECサイトの売上を集計して見える化できる経営戦略の立案に役立つ機能です。
期間ごとの売上データを分析することで、ECサイトの繁忙期や閑散期を見極められます。商品別・カテゴリ別の売上集計は、ECサイトの売れ筋商品や売上不振の商品の把握に役立ち、仕入れや販促施策に反映が可能です。
売上推移のグラフ表示は視覚的にデータが把握できるため、ECサイト担当者以外との情報共有を円滑にします。また、売上の各種データはCSVで出力できるため、会計ソフトや分析ツールと連携することもできます。
セキュリティ関連
ECサイトでは、個人情報やクレジットカード情報など重要なデータを扱うため、セキュリティ対策の機能は必須です。情報漏えいは顧客の信頼を失うだけでなく、法的措置や金銭的損失が発生する可能性があります。
SSL(TLS)対応(HTTPS化)
ECサイトのセキュリティ対策の基本となるのが、HTTPS化です。HTTPS化とは、URLを「http://」から「https://」に変更し、暗号化通信を行うことを指します。
SSL(Secure Sockets Layer)/ TLS(Transport Layer Security)は、インターネット上の通信を暗号化する技術です。現在はTLSが標準ですが、慣例的に「SSL対応」と呼ばれることが一般的です。
通信を暗号化することで、ユーザーの入力した情報が、外部から見えないように保護されます。それにより、ECサイト利用による個人情報の漏えいを防止できます。
「SSL対応がないECサイト=安全性に問題があるサイト」と見なされるため、未対応はユーザーの離脱にもつながるので注意しましょう。また、Googleは検索順位の評価要因にしているため、SSL対応によるセキュリティ対策は必須と言えます。
パスワードのハッシュ化
パスワードのハッシュ化とは、パスワードの文字列を元に戻せない形に変換して保存する方法です。
ECサイト上で入力されたパスワードを平文で保存せず、SHA-256などのアルゴリズムによって暗号変換して保存します。これにより、万が一データが流出しても、簡単には元のパスワードが分からなくなるのです。
もしもそのままの平文でデータを保存している場合には、外部に流出した際にすべてのアカウントが危険にさらされます。
ECサイトのセキュリティ対策の基本として、必ずパスワードをハッシュ化して保存できているか確認しましょう。
また、ECサイトの管理画面へのアクセス設定もセキュリティ対策の一環といえます。
複数の担当者がいる場合に、それぞれの権限を設定できる副管理者設定機能は多くのサービスに標準搭載されています。
さらにセキュリティを高めたい場合には、特定のIPアドレスからのアクセスに制限できるログインIP制限を導入するとよいでしょう。ログインIP制限は、中規模以上のEC運営において必須といえるセキュリティ対策です。
顧客データを守る仕組みと管理者側の不正アクセス防止によって、安心安全なECサイト運営が実現できます。
通知・連絡関連
ECサイトの運営において、ユーザーとの円滑なコミュニケーションは信頼へとつながります。注文完了や配送状況の通知の遅れは、ユーザーの不安感を与えます。そのような不安の解消に役立つのが、自動メール送信やお問い合わせフォームといった通知・連絡関連の機能です。
自動メール送信機能
自動メール送信は、購入直後の注文確認メール、発送完了メールなどの注文や出荷に関する通知を自動で行う機能です。メール配信が自動処理されることで、人為的なミスを減らし、安定したユーザー対応が行えます。
自動メールの内容は、テンプレートが用意されています。テンプレートの文面をECサイトに合った内容に設定しておくことで、ブランドイメージを崩さずに統一感を持たせることが可能です。
自動メールは管理者にも配信可能ですので、出荷漏れや注文の処理漏れを防止するのにも役立ちます。
お問い合わせフォーム
ECサイトのお問い合わせフォームは、ユーザーからの質問・要望・クレームなどを受け付ける窓口です。電話やメールと比較すると、情報を整理して受け取れるメリットがあります。
名前・メールアドレス・内容・注文番号といった、回答に必要となる情報をフォームで設定することで、スムーズな問い合わせ対応が行えます。
管理者に問い合わせがあった際に通知が届くので、漏れのない迅速な対応が可能です。また、問い合わせフォーム送信時の、ユーザーへの自動返信メールの設定もできます。自動返信を設定することで、ユーザーの不安や不満を和らげられます。
推奨機能(あったほうが良い機能)

引用元: https://pixabay.com/photos/person-thumbs-up-smiling-success-2385787/
ECサイトを運営するうえで必須ではありませんが、導入することで売上アップや顧客満足度の向上につながる推奨機能も多く存在します。
このような推奨機能はECプラットフォームによって、
- 標準で搭載されている場合
- オプションとして追加料金が必要な場合
- 外部ツールとして連携して利用する場合
の大きく3パターンがあります。
たとえば、無料ならBASE、有料ならイージーマイショップやmakeshopなどがおおむねの推奨機能が用意されています。一方で、Shopifyやfutureshopのように、アプリやオプションを追加して必要な機能を揃えていくものもあります。
比較検討する際は月額料金・オプション料金・外部ツール使用料などの合計金額を算出したうえで慎重に検討することが大切です。
メール配信機能
メール配信は、ECサイトからのメルマガ・セール告知・ステップ配信などを行う機能です。標準で搭載されているECプラットフォームも少なくありませんが、本格的な運用はオプションや外部ツールとの連携が必要な場合が多く見られます。
メール配信機能において、地域・性別・年齢・注文履歴などから対象を設定できるターゲット配信ができることは重要なポイントです。また、メールマーケティングの改善のため、開封率・クリック率・配信停止率などの効果確認や分析が行える機能もあるとよいでしょう。
クーポン・ポイント機能
ECサイト上で主に割引クーポンの発行、ポイント付与・利用などを行えるのがクーポン・ポイント機能です。併用不可といった利用条件の設定や有効期限の設定も可能です。
初回購入者への割引クーポンの発行、購入に応じたポイントの付与は、リピート購入やユーザーの囲い込みに効果的です。ただし、クーポンの乱発は利益を圧迫するため、戦略的な発行が重要です。
商品検索機能
商品検索は、入力したキーワードから商品名や商品説明を参照し、ほしいものをスムーズに見つけられる機能です。商品数が多いサイトでは、使いやすい商品検索機能があると利便性が大きく向上します。
キーワード検索だけでなく、サイズ・色・価格帯といった絞り込み条件と組み合わせができると、さらに便利です。目的の商品にすぐにたどり着けると、ユーザーの離脱が防止できます。
商品レビュー表示機能
商品レビュー表示は、ユーザーの評価やコメントを表示できる機能です。商品レビュー表示機能は、ECサイトの信頼性や購入意欲の向上に役立ちます。
実際に使った方の評価がわかることで、初めての方も安心して商品を選べます。星評価は視覚的でわかりやすいので、積極的に導入するとよいでしょう。
レビューは、管理者による承認が必要な設定を入れることができます。それにより、不適切な投稿を非表示にすることも可能です。
関連商品・レコメンド機能
閲覧履歴や注文履歴から自動で関連商品やおすすめ商品を表示するのが、関連商品・レコメンド機能です。
類似商品や関連した商品を自動提案することでセット購入やついで買いを促せるため、客単価アップにつながります。また、提案については、特定の商品を手動で設定することもできます。
お気に入り・ほしい物リスト
お気に入り・ほしい物リストは、気になる商品を保存しておける機能です。ほしい物リストは、購入を迷っているユーザーが後から見返せるので、検討後の購入確率がアップします。また、お気に入りに登録できると、ユーザーはリピート購入がスムーズに行えます。
非ログインのユーザーでもリストが一時保存できると、再訪問を促すきっかけになります。
カゴ落ちメール機能
カゴ落ちメール機能は、ECサイトでカートに商品を入れたまま離脱したユーザーに対して、自動でリマインドメールを送る機能です。
設定した時間で自動で送信できるため、ユーザーの買い忘れを防ぐうえで役立ちます。「今購入すると10%off」といったクーポンを添えて、購入を促すというアプローチも可能です。
開封率やクリック率の計測データを分析し、最適なタイトルやコンテンツを考えることがカゴ落ちメールの効果を最大化するポイントです。
商品の再入荷通知機能
ECサイト上で在庫切れになった商品の再入荷をユーザーに通知できる機能です。ユーザーが通知希望の登録を行うことで、在庫入れが行われた際に再入荷の自動メールを送信できます。
売り逃しによる機会損失を防ぎ、ユーザーのECサイトの利用満足度の向上にもつながる機能です。
チャットボット機能
チャットボット機能は、画面の右下などに表示される自動応答で質問に答えてくれるチャット機能です。よくある質問に即座に答えられるため、ユーザーの不安をスピーディーに解消し、離脱を防ぐ効果が期待できます。
また、必要に応じてオペレーターと連携することで、顧客対応の幅を広げることが可能です。