
「SKUってなんなの?わかりやすく教えて!」「SKUにはどんなメリットがあって、どうやって作成するの?」とお悩みではありませんか?
結論、SKUとは商品の在庫管理や販売分析を効率化するための管理番号のことです。SKUは、適切に設定しないとかえって管理が煩雑になるなどのデメリットもありますが、正しく運用することで適切な在庫管理や業務効率の向上が期待できます。
この記事では、SKUの役割や目的・SKUの作り方・他の識別コードとの違い・デメリットなどを解説しています。SKUについて正しく理解し、商品在庫の最適化や業務効率の向上を目指しましょう。
目次
SKUとは?

SKUとは、Stock Keeping Unit(ストックキーピングユニット)の略です。エス・ケー・ユーと読み、在庫管理や販売分析をおこなうための最小単位を指します。商品のデザインや色、サイズなどの組み合わせにより、識別番号を設定します。
たとえば、同じデザインのTシャツでもカラーは白・黒の2種類、サイズはM・Lの2種類を展開している場合、1デザイン×2カラー×2サイズ=4SKUとなります。SKUを管理・活用することで、適切な在庫管理や販売分析が可能です。
ここで重要なのが「品目」との違いです。品目は商品の種類を指し、SKUは在庫の最小管理単位になるため、SKUのほうがより細かいレベルの識別を行います。
SKUをわかりやすくいうと・・・

SKUをわかりやすくいうと、お店がどの商品が何個あるかを管理するための、商品ごとの番号です。同じ商品名であっても、色やサイズが異なれば別のSKUとして扱います。この番号は、店舗独自の管理番号なので自由に設定することが可能です。
1デザイン×2カラー×2サイズ展開のTシャツ001番を例に整理してみましょう。
- カテゴリ:Tシャツ=TSH
- 品番:001番=001
- カラー:白=WH・黒=BK
- サイズ:Medium=M・Large=L
これらの組み合わせでSKUが決まります。
例:Tシャツ×001番×白×MサイズのSKUは、“TSH-001-WH-M”です。
| 商品名 | カラー | サイズ | SKU |
|---|---|---|---|
| Tシャツ001 | 白 | M | TSH-001-WH-M |
| Tシャツ001 | 白 | L | TSH-001-WH-L |
| Tシャツ001 | 黒 | M | TSH-001-BK-M |
| Tシャツ001 | 黒 | L | TSH-001-BK-L |
SKUの重要性【役割と目的】

SKUの役割と目的は、結論からいうと「商品を正確に区別し、在庫管理・販売分析・仕入れの最適化を行い業務を効率化すること」です。SKUを導入することで、業務の効率化だけでなく、作業負担やコストを削減できるなどさまざまなメリットが望めます。
SKUを活用すれば、在庫の見える化、売れ筋商品の発見、仕入判断の精度向上が実現します。SKUは、単なる番号ではなくサプライチェーンマネジメントを円滑に回すための重要な要素といえます。
在庫を正確に識別・把握する役割
SKUには、在庫を正確に識別・把握する役割があります。SKUは、商品を1つずつ区別するための識別番号で、同じ商品でも色やサイズ・型が違えば別SKUとして管理します。
SKUが整理されていれば、各商品の在庫数を正確に把握することが可能です。正確な在庫数を把握できることで、欠品や過剰在庫を抑制でき正しい在庫状況を維持することができます。とくに、ECサイトやアパレル・雑貨などのように多種多様な商品を取り扱う事業においては、SKUは業務効率を向上させる上で重要な役割を果たすでしょう。
さらに、SKUはロット管理とも密接に関わります。同じSKUでも、製造ロットが違えば品質などに違いが出るため、SKUとロットを組み合わせることでより精密な在庫管理が可能です。
在庫管理の効率化
SKUを設定することで、在庫管理の効率が上がります。SKUごとに入出庫を記録することで、在庫数量の推移が正確に把握でき、数量違いや誤出荷などの作業ミスを防ぐことが可能です。作業ミスのリスクが減ると、現場の作業がスムーズになり担当者の負担軽減にもつながります。
さらに、SKUを活用した在庫管理システムを導入すれば、システムやバーコードにより入出庫や棚卸の管理などが自動化できます。自動化により業務が効率化しミスも抑制できるため、顧客満足度や信頼性アップにもつながるでしょう。
販売分析・仕入判断の基盤
SKUは、販売分析・仕入れ判断の基盤になります。SKU単位で販売データを集計・分析できるため、色・サイズごとに売れ行きを把握できるなど、何が売れていて何が売れていないかを正確に分析できます。
売れ筋・不人気の傾向が見えることで、各商品の在庫を最適化できるメリットもあります。さらに、入出庫データを正確に把握・分析することができると、データに基づいた仕入れ・生産判断が可能です。売れているものは仕入れ、売れていない商品の在庫は減らすなど販売効率を向上させる効果が望めます。
システム連携・自動処理の中核

SKUは、ECサイトや在庫管理システム・POSシステムなど、さまざまなシステム間の連携や自動処理の中核となる情報です。SKUを各システムと連携することで、注文・出荷・在庫更新などの処理が自動化でき、手作業を減らすことができます。
リアルタイムで在庫状況を確認できることで、適切なタイミングでの発注ができたり出荷ミスがあった場合の在庫数量の照合ができたり、作業を行う人の安心感向上にも寄与します。
SKUは、業務システムの共通言語として機能するため、将来的なシステム拡張やDX化の基盤としても重要です。
SKUの作り方・ルール設定

SKU作成には、注意すべきポイントや設定上のルールがあります。重要なのは、商品を識別するためのコードをわかりやすく一貫性を持って設計することです。
SKUは、企業独自のルールで自由に設定できますが、それゆえに運用方法を誤ると余計に管理が煩雑になるリスクもあります。誰が見てもわかる明確な命名ルールを定める・一目でどの商品かわかる構造にする・一度決めたSKUは原則変更しないなど、慎重に検討が必要です。
SKUは、在庫・販売・システム連携などすべての基盤となるため正しく運用することが重要です。SKUを適切に運用することで、業務の効率化や顧客満足度向上が期待できます。
①SKU作成の基本方針
SKUは、自社内の識別番号のため基本的には自由に設定できます。ただし、無秩序な英数字の羅列は避け、自社内の誰が見ても意味がわかる構造にすることが理想です。
規則性のない番号の設定は在庫管理の混乱を招き、将来的に商品のバリエーションが増えた際にも柔軟な対応が困難になります。あらかじめ、命名ルールを決めて全社員が統一して使うことが重要です。
- 意味のあるコードを組み合わせる
- 文字数は一定にそろえる
- 一度設定したコードは変更しない
このような命名ルールを遵守して作成することで、混乱を招きにくく拡張性のあるSKUが作成できます。
②SKUコードの構成例
SKUは、カテゴリ+商品番号+属性(色・サイズなど)のように、複数の要素を組み合わせて作成することが望ましいです。
「アパレルでの一例」
- カテゴリ:TSH(Tシャツ)
- 商品番号:001(001番)
- 色:WH(ホワイト)
- サイズ:M(ミディアム)
これらの組み合わせで「TSH-001-WH-M」となります。
このように、見るだけでどの商品かわかる構造にするのが理想です。英数字を並べるだけでなく、ハイフンなどで区切ると視認性が上がり識別しやすくなります。
③コード設計ルールの基本例
SKUのコード設計においては、下記のポイントに注意が必要です。
- 桁数や記号の使い方を統一する
AA〜ZZ、001〜999など一貫性を持たせて統一させると管理しやすくなります。 - カテゴリの略称は社内で統一する
ホワイト=WH、ブラック=BKなど社内での共通認識を作ると混乱を招くリスクが減ります。 - 桁数ごとに区切り記号を使い視認性を高める
「-(ハイフン)」などを使うと視認性が高まり識別しやすくなります。 - 同一カテゴリ内で重複がないように設計する
ダークブルー=DB、ダークブラウン=DBのように重複があるとミスにつながります。
SKUは業務全体の基盤になるため、ルールを文書化し誰が見ても意味がわかり識別できるようにすることが重要です。
④SKU設計時の注意点
SKUを設計する時には、注意点があります。
- 一度決めたSKUは基本的に変更しない
SKUを途中で変更してしまうと、過去の販売履歴や在庫状況などの整合性が崩れてしまうリスクがあります。 - JANコードや型番とは目的が異なることを理解しておく
SKUは自社用の識別コードであり、社外向けのJANコードや型番とは目的が異なります。 - システム(EC・倉庫・POS)との連携を意識する
どのシステムにおいても、SKUが正しく識別される必要があります。
先頭を「0」にすると、システムによっては正しく認識されないため避けたほうが無難です - 属性の型番(カテゴリ→商品番号→色→サイズ)を固定する
属性の順序が入れ替わったり他の要素が割り込んできたりすると、混乱を招く原因となります。 - 適切な桁数を設定する
桁数が多すぎると、カテゴリが細分化されすぎてしまいSKUの管理が煩雑になります。反対に桁数が少なすぎると、将来的に商品バリエーションが増えた場合に拡張性がなくSKUの追加が困難になります。JANコードの桁数に合わせて13桁に設定するケースが多いです。
SKUは長期運用が前提のため、最初の設計が業務効率に直結するといえるでしょう。
⑤業種別SKU設計の実例
業種によって、SKUの設計ポイントは異なります。アパレルでは色やサイズなど、食品関係では品目や産地・容量などのバリエーションに応じてSKUに含める要素を決定します。
含める要素に応じて、コードに意味を持たせることで分析がしやすくなります。誰が見てもわかりやすく、拡張性のある構造を意識することが重要です。
| 業種 | SKU例 | 意味 |
|---|---|---|
| アパレル | TSH-001-WH-M | Tシャツ001番・ホワイト・Mサイズ |
| 食品 | APL-AM-06 | りんご・青森県産・6個入り |
| アクセサリー | NL-01-SV | ネックレス・1番・シルバー |
| 家電 | REF-MK-500-WH | 冷蔵庫・メーカー名・500L・ホワイト |
業種ごとの特性に合わせて、最適なSKUを設計することで、管理や業務の効率が大きく向上します。
SKUと他の識別コードの違い

SKUは、自社の在庫管理・販売分析のために設定する社内用の識別コードであり、JANコードや品番・型番とは目的や役割が異なります。
SKU=社内管理のためのコード、JAN・品番・型番=製造や流通など社外でも使用されるコードです。それぞれの違いを正しく理解することで、SKU設計のコツや方向性がより明確になります。
【比較表】SKUと他のコードの基本的な違い
| 項目 | SKU | JANコード | 品番/型番 |
|---|---|---|---|
| 用途 | 在庫管理・販売分析 | 流通・小売りでの商品識別 | 製造・設計での商品識別 |
| 発行者 | 自社で自由に設定 | 流通団体(GS1 Japanなど) | メーカー・製造元 |
| 使用範囲 | 社内 | 業界全体(JAN/EAN共通) | 自社または取引先間 |
| 桁数・形式 | 自由(任意・JANコードに合わせて13桁で設定すると管理しやすい) | 固定(短縮8桁もしくは13桁) | メーカー独自形式 |
| 役割 | 在庫管理・販売分析・自動処理 | 販売時のスキャン識別 | 製品シリーズの区別 |
| 変更の可否 | 原則変更しないことが望ましい | 発行後は変更不可 | 製品仕様により変更あり |
SKUは、在庫管理や販売分析に使われる識別コードです。JANコードは流通業界で商品を識別する共通コードで、販売時のスキャン識別に使われます。品番・型番はメーカーや消費者が、商品を区別したり検索したりするのに使われます。
1.SKU(Stock Keeping Unit)
SKUは、在庫識別のための最小単位コードで自社で自由に設定できます。たとえば、TSH-001-WH-MはTシャツ001番・白・Mサイズです。
ECサイトやPOSシステム・在庫管理システムなどと連携させることで、リアルタイムの在庫状況を自動反映させる・販売分析を行い適切な在庫管理につなげるなどが可能です。SKUは、社内でどの商品の在庫がいくつあるかを把握するための管理番号であり、JANコードなどのように社外の製造や流通に使われることはありません。
2.JANコード(Japanese Article Number)

JANコードは、Japanese Article Numberの略語で、どの事業者のどの商品かをあらわす社外向けの識別コードとして用いられます。一般に商品パッケージやバーコードに印字されている番号で、ECサイトや店舗のPOSレジで読み取るバーコードとして使われる、日本国内の共通バーコード規格です。
SKUと違い、国際規格に基づきGS1 Japan(流通システム開発センター)が発行するため、自社で自由に設定することはできません。同じ商品であればどの店でも同じJANコードが使用され、色やサイズなどの細かな情報は含まれません。
GS1 JapanのホームページからGS1事業者コードを登録することで、JANコードの作成が可能となります。GS1事業者コードの登録には、事業の規模に応じて初期申請料や登録管理費が必要です。
品番(Product Number)
品番は、商品のメーカーが用いる識別番号です。商品の機能・デザイン・仕様の違いなどを区別する目的があります。SKUと違い、色やサイズ違いの商品を区別するためには利用されません。
品番は、製造や出荷・品質管理の面で重要な役割を果たしますが、小売りや在庫管理の面ではSKUのほうが実用的といえます。品番は、メーカー視点の製品識別番号であり、メーカーによっては品番がSKUを兼ねる場合もあります。
型番(Model Number)
型番は、主に家電・電子機器などの製造業で使われる識別番号です。製品の仕様・世代・構成部品を明確に区別するために用いられる番号です。
型番は、スマホや家電など消費者が商品を探す時にもよく使われます。また、商品故障時の問い合わせなど、商品モデルを特定してサポートを受ける場合にも利用されます。
製品の技術的な特性を示すコードであり、在庫管理や販売分析を目的としたSKUとは役割が異なります。製造と販売いずれの面でも使われますが、SKUほど細分化はされていません。
SKUのデメリット

SKUは、在庫管理や販売分析に役立ちますが、導入にはデメリットもあります。
- SKUが増えすぎると管理が複雑になる
- データ入力や登録作業の手間が増える
- SKU構造を変えるとシステムに影響が出る
SKUは便利な反面、適切なルール設計と運用体制の構築が必要です。SKUのデメリットを理解し、正しく運用することでよりSKUのメリットを十分に享受できます。
①SKUが増えすぎると管理が複雑になる
SKUが増えすぎると管理が複雑になるデメリットがあります。商品の色・サイズ・仕様などを細かく分けるほどSKUは増加します。SKUが増えることは、商品ラインナップが充実しているとも言え顧客の選択肢が増える強みではありますが、その分管理も複雑になります。
数百〜数千SKUになると、管理表やシステムが煩雑になりやすく、在庫の所在や実在庫数量の確認なども複雑になります。
また、他商品とセットでの販売を行う際は、単品在庫との連動(引当)が自動でなされるようにしておけると、ミスの防止・管理効率の向上につながります。こうした仕組みが整っていないと、セット販売と単品販売で在庫計上にズレが生じ、欠品や過剰在庫の原因となる可能性があります。
②データ入力や登録作業の手間が増える
SKUは、商品のバリエーションごとに個別に登録するため、SKUが多いとデータ入力や登録作業の手間が増えます。ECサイトや在庫管理システムにSKUを登録する際、ひとつずつ入力・登録する必要があり、手作業で入力する場合、重複やタイプミスなどのリスクも高まり時間も要します。
SKU設計段階から、拡張性は持たせつつ余分なSKUを増やさない工夫が必要といえます。SKU導入直後や、SKU追加登録の際は手間や時間がかかりますが、正常に稼働し始めるとSKUのメリットを最大限に感じられるはずです。
③SKU構造を変えるとシステムに影響が出る

SKU構造を変えるとシステムに影響が出るデメリットもあります。SKUはECサイトや在庫管理システムなどと連動するため、一度決めたSKUを後で変更すると、販売データや在庫履歴が崩れたりデータ整合性に問題が生じたりする可能性があります。
また、システム設定の見直しが必要になる場合もあり、作業負荷や追加コストの発生につながります。SKUは、初期設計の段階で長期間使えるルールを設計し、後から変更しなくてもよい構造にしておくことが重要です。







