
働き方の多様化や副業への関心の高まりから、「物販ビジネス」に挑戦する人が増えています。
物販ビジネスとは、商品を仕入れて販売するというシンプルな仕組みで、インターネット環境さえあれば誰でもはじめられることから、多くの注目を集めているビジネスモデルです。
しかし、その手軽さとは裏腹に、多くの人が「何から手をつければいいのか」「どうすれば売れるのか」といった壁にぶつかり、思うように利益を出せていないのも事実です。
本記事では、物販ビジネスの基本的な仕組みから、成功に不可欠な商品のリサーチ方法、販売先の選び方まで、具体的な手順を6つのステップで解説します。
目次
物販のやり方①:物販とはなにか?を理解する

基本の考え方
物販は、「商品を仕入れて販売し、差額で利益を得る」というシンプルなビジネスモデルです。流れは、商品を安く仕入れて高く売るという基本原則にもとづいており、スーパーやネットショップなど世の中の多くの商売が同じ仕組みで成り立っています。
そのため、特別な資格や専門知識がなくても、この基本さえおさえれば誰でもはじめられるのが物販の大きな魅力です。
利益の仕組み
物販の利益計算は非常にシンプルで、売上から「仕入れ値」と「すべての経費」を差し引いて手元に残る金額が利益となります。
商品を仕入れてからお客様の元へ届けるまでには、仕入れ値以外にもさまざまなコストが発生します。具体的には、販売サイトに支払う手数料、送料、梱包に使う段ボールやテープ代、さらには商品を宣伝するための広告費などがこれにあたります。
たとえば、仕入れ1,000円の商品を2,000円で販売した場合、利益は1,000円となります。ここから経費を差し引いて、仮に、販売手数料が200円(売上の10%)、送料が300円かかったとします。 この場合、手元に残る純粋な利益は「2,000円(売値) – 1,000円(仕入れ値) – 500円(経費合計)」で、最終的に500円となります。
このように、物販における利益は「売値-仕入れ-コスト=利益」となるため、利益を増やすうえでは、各要素を意識しながら販売していく必要があります。
物販の種類
物販の種類は、主に実店舗型とネット物販の2つに分類できます。
実店舗型とは、スーパーやアパレルなどのように、実際にお店を構えて商品を販売する手法です。これに対しネット物販では、ECサイトやフリマアプリのように実店舗をもたずともオンライン上で販売する手法を指します。
ネット物販は、実店舗型に比べ初期費用が少なく、在宅でもはじめやすいという利点があります。
メリット
物販ビジネスは、比較的ビジネスモデルが単純なため、初心者でも理解しやすいという特徴があります。
とくにネット物販であれば、少額の初期費用からでもはじめやすい点もメリットとしてあげられます。
また、商品が売れればすぐに現金が手に入るため、副業としてでも収益化につなげやすい点も魅力の一つです。
デメリット
一方で、物販ビジネスは商品を事前に仕入れる必要があるため、在庫リスクや赤字の可能性もあります。
とくに、人気の商品であれば競合性も高くなるため、価格競争になりやすく、十分な利益につながらないケースもあるため注意が必要です。
売上や利益増加につなげるためには、いかに売れる商品を見つけられるか、市場調査やリサーチ力が重要となります。
物販のやり方②:ビジネスモデルを決める

物販には複数のビジネスモデルがあり、それぞれ特徴とリスクが異なります。自身の資金力や時間、リスクの許容度にあわせて最適なモデルを検討してください。
在庫あり型
在庫あり型とは、事前に商品を仕入れ、在庫をもちながら販売する方法です。倉庫や自宅で商品を保管することで、注文が入ったらすぐに販売・発送することができます。
あらかじめ在庫を確保しておくことは、お客様からの注文に対して即座に対応でき、顧客満足度の向上や高い評価に直結する重要な要素となります。
たとえば、自宅や倉庫に商品を保管しておけば、ECサイトで注文が入った瞬間に梱包作業を開始し、翌日には発送を完了させることが可能です。お客様をお待たせしないスピーディーな対応が、大きな強みとなります。
その反面、もし商品が売れ残れば仕入れ費用がそのまま損失になるという、在庫リスクを常に抱えていることを意識する必要があります。
無在庫型
無在庫型は、注文が入ってから仕入れる方式で、在庫のリスクを抱えずにビジネスを行うことができるモデルです。
事前に仕入れる必要が無いため、資金が少なくてもはじめやすい特徴がありますが、注文後の仕入れが遅れると顧客対応が難しくなるリスクも生じます。
また、無在庫型は多くのECモールでは規約制限などを設けているケースも多いため、運用にはあらかじめ注意が必要です。
国内転売
国内転売は、国内の小売店やネットショップなどで商品を安く仕入れ、別の市場で販売するビジネスモデルです。
代表的な商品としては、家電量販店のセール品や人気キャラクターグッズなどがあげられます。
国内転売の場合、移動や仕入れの手間がある一方で、即現金化しやすい特徴もあるため、物販初心者向きのモデルともいえます。
輸入販売
輸入販売は、海外(主に中国や米国)から商品を仕入れ、国内で販売するビジネスモデルです。
仕入れ値を安く抑えることができるため、販売価格によっては利益率を高くしやすい特徴があります。
とはいえ、海外からの仕入れとなると、関税や輸送、検品などのリスク管理を行う必要があり、コストも高くなる可能性もあるため注意が必要です。
物販のやり方③:市場リサーチ(商品選び)

売れる商品の特徴を知る
物販で成功するために、なによりも大切なのが、その商品に「需要がある」ことです。どれだけ魅力的な商品を用意しても、それを欲しいと思う人がいなければ、利益は生まれません。
この「需要」には、大きく分けて2つの考え方があります。
一つが、定番商品やリピートされやすい商品がもつ「安定した需要」です。 常に一定の購入者が見込めるため、ビジネスの土台となる安定した売上につながりやすいのが特徴です。
もう一つが、季節商品やトレンド商品に生まれる「短期的な需要」です。 タイミングさえ合えば大きな利益を期待できますが、時期を逃すと売れなくなるというリスクもあります。
リサーチの基本方法
市場リサーチ(商品選び)の方法は、先ほどふれたビジネスモデルに応じて多岐に渡ります。基本的な方法としては大手ECサイトのランキングやレビューなどをチェックすると効果的です。
たとえば、Amazonや楽天の売れ筋商品などは、サイト上にランキング形式で紹介されています。メルカリやヤフオクなどでも売れ筋商品とあわせて、実際に売れている価格帯などを確認することが可能です。
このようなサイトを参考に、今ユーザーに響く商品を把握することができれば、効率よく仕入れ・販売につなげることができます。
また、レビュー数や出品数なども確認することで、需要と競合性のバランスを把握することも可能です。需要があっても競合が多ければ売上につながらない可能性もあるため、市場全体の傾向をふまえながら販売する商品を選んでいくことが重要です。
初心者は避けたほうがよい商品
物販ビジネスとして販売できる商品は多岐に渡りますが、初心者の場合にはあまり手を広げすぎず、売上・利益につながりやすいジャンルを選ぶことが重要です。
避けるべき商品の具体例としては、以下のようなものがあげられます。
- 壊れやすい、返品率が高い商品: クレームや返金対応に追われ、余計なコストと手間が発生する可能性。
- 仕入れロットが大きい商品: 大量の在庫を抱えることになり、もし売れなければ大きな赤字に直結する。
- 法律で規制される商品: 医薬品や偽ブランド品などは、アカウント停止など一発退場の致命的なリスクがある。
このように、物販をはじめたばかりの頃は、大きな利益を狙うよりも、まず失敗のリスクが低い商品を選ぶことが大切です。
狙いやすいジャンル
物販初心者には、需要が安定し、定期的な売上・利益につながりやすい商品がおすすめです。具体的には、以下の2つのタイプがあげられます。
- 日用品、生活雑貨:景気や流行に左右されにくく、常に一定の需要が見込めるため、「まったく売れない」という失敗のリスクが低いのが特徴です。とくに消耗品であれば、リピート購入も期待でき、安定した収益の柱となります。
- 趣味・ホビー系のジャンル:一見ニッチに見えますが、熱心なファンがいるため価格競争に巻き込まれにくいという強みがあります。「多少高くても欲しい」という顧客心理が働きやすいため、一つあたりの利益をしっかり確保でき、薄利多売を避けることができます。
このような商品特性を理解したうえで販売することで、安定した売上・利益の増加につなげることが可能になります。
物販のやり方④:販売チャネルを決める

Amazon

Amazonは、数ある物販の販売チャネルの中でも圧倒的な集客力が魅力です。日々多くのユーザーが商品を求め集まるため、初心者であっても商品を売りやすい特徴があります。
また、FBA(倉庫代行)を活用することで、在庫管理や発送を自動化することも可能です。その結果、より販売に注力できるため、効率よく売上増加につなげることもできます。
一方で、競合他社も多くなるため、価格競争に陥りやすい傾向もあります。利益を確保するためには、価格以外の付加価値をどう伝えるかなど、事前の戦略が重要になります。
楽天市場

楽天市場も販売チャネルとして人気のモールです。商品販売においてブランド性を高めやすい特徴があるため、リピーターがつきやすい傾向にあります。
販売するうえでの出店費用や固定費など、コストが若干高めではありますが、広告などを活用することで大きな売上につなげることも可能です。
このような背景から、自社ブランドや差別化商品をもつ事業者にはおすすめのチャネルとなります。
Yahoo!ショッピング

引用:https://shopping.yahoo.co.jp/
Yahoo!ショッピングは、Amazonや楽天市場に比べると集客力は若干少ないものの、Yahoo!が運営するショッピングモールとして人気の高い販売チャネルです。
Yahoo!ショッピングでは、出店のハードルが低いため、初期費用を抑えてはじめることが可能です。
また、PayPayユーザーの流入が多く、キャンペーンなどの効果も強い特徴があります。
メルカリ・ヤフオク

メルカリやヤフオクも物販の販売チャネルとして有効活用できます。とくにメルカリやヤフオクは、在庫を少量からでも出品でき、個人でも販売することが可能です。
そのため、初心者が試しに物販をはじめるうえでもハードルが低く、副収入感覚でも有効活用できるチャネルといえます。
一方で、長期的なブランド育成などには不向きであるため、戦略的に活用していくことがおすすめです。
自社EC
物販ビジネスは、Amazonや楽天などのチャネルを使わずとも、自社ECとして展開することも可能です。自身のオリジナルショップをもつことができれば、自由にデザインや戦略を組み立てることができます。
最近では、BASEやShopify、イージーマイショップといった専門知識がなくても簡単にネットショップを開設できるツールがあるので、自分だけのお店を開くハードルはぐっと下がっています。
さらに、広告を運用したり、SNSでファンと交流したりと、集客方法も自分次第。上手く組みあわせることで、中長期的にビジネスを大きく育てていくことが可能です。
ただし、サイト構築から集客までをすべて自分で行う必要があるため、物販に一通り慣れて、次のステップに進みたいと考えている中級者以上の方におすすめの手法といえます。
物販のやり方⑤:仕入れ先を探す

国内の仕入れ先
物販ビジネスで利益率を高めるためには、いかに安く商品を仕入れることができるかがカギとなります。初心者の方がまず活用すべき、代表的な国内の仕入れ先は以下の通りです。
- ドン・キホーテなどのディスカウントストア
- 家電量販店
- リサイクルショップ
- ネットショップ(Amazon、楽天など)のセールやアウトレット
これらの仕入れ先に共通する最大のメリットは、「即納・少量仕入れが可能」であることです。
必要なときに1点からでも商品を確保できるため、まとまった資金がなくてもリスクを抑えてスタートできます。この手軽さが、初心者にとって非常に扱いやすいポイントです。
卸問屋・専門業者
仕入れ先には、卸問屋や専門業者も存在します。アパレルや雑貨などのジャンルに特化した商品などは、問屋から仕入れることで効率化につなげることも可能です。
最大のメリットは、小売店を介さないことで仕入れ単価を大幅に下げ、利益率を格段にアップさせられる点です。これにより、価格競争で優位に立ったり、利益額を大きく伸ばしたりすることが可能になります。
ただし、多くの場合、「最低◯個以上」といったロット数での購入が条件となり、事前の会員登録も必要です。消費者としてではなく、事業者として取引を行うため、ある程度のまとまった資金と計画性が求められる、中級者向けの仕入れ方法といえるでしょう。
海外仕入れ(中国輸入など)
仕入れ先は、国内に限らず海外からの方法もあります。とくに人気なのが、物価の安い中国からの輸入で、代表的な仕入れサイトには以下のようなものがあります。
- Alibaba(アリババ):企業向けの卸売サイト。工場から直接、大量に仕入れることを前提としているため、圧倒的な安さを実現できます。
- タオバオ:個人向けの巨大なショッピングサイト。基本的には中国国内向けですが、1点からでも購入できる手軽さが魅力です。
- AliExpress(アリエクスプレス):海外の個人向けに作られたサイト。タオバオより少し割高ですが、日本語に対応しており日本へ直接発送してくれるため、初心者でも比較的利用しやすいのが特徴です。
これらは工場直販の商品が多いため、仕入れ値を安く抑えることができます。
一方で、海外仕入れの場合には送料や関税をはじめ、納期のリスクも生じます。
品質管理や納期の遅延、国際送料・関税といった追加コスト、外国語でのやり取りなど、国内仕入れにはないさまざまなリスクを管理する必要がある、上級者向けの仕入れ方法となります。
物販のやり方⑥:出品・販売

商品ページの作成
物販を行うためには、販売チャネルに限らず商品ごとの販売ページを作成する必要があります。商品自体に魅力があっても、ユーザーに魅力が伝わらない販売ページであれば売上につながりません。
売れる商品ページは、主に以下の3つの要素で構成されています。
- 商品画像(第一印象を決める「顔」):お客様が最初に目にする重要な項目です。商品をさまざまな角度から撮影した写真や、実際に使用しているシーンがわかる写真を複数枚用意し、魅力を視覚的に伝えます。
- タイトル(見つけてもらうための「看板」):お客様が検索するキーワードを含める場所です。ブランド名や商品名だけでなく、「トートバッグ 大容量 A4」のように、お客様が探しそうな言葉を盛り込むことが重要です。
- 商品説明文(購入を後押しする「口説き文句」):商品の特徴(機能)だけでなく、それによってお客様が得られる未来(ベネフィット)を伝えるのがコツです。 (例:機能「防水素材」→ ベネフィット「雨の日でも中身が濡れる心配がありません」)
このように、ただ商品を登録するのではなく、「お客様の視点」に立って写真・タイトル・説明文のすべてを丁寧に作り込むことが、売上を最大化するうえで不可欠です。
価格設定
物販で利益を最大化するための価格設定とは、感覚で決めるのではなく、リサーチと計算にもとづいて「確実に利益が残る適切な価格」を設定することです。
価格は高すぎればお客様に選ばれず、逆に安すぎればたとえ売れたとしても手数料や送料を差し引くと赤字になってしまう可能性があるからです。売上と利益のバランスを取る、戦略的な視点が欠かせません。
価格を決める際は、まず競合リサーチからはじめます。売りたい商品と同じジャンルの商品が、ほかの出品者によっていくらで販売されているか相場を把握しましょう。次に、その相場を参考にしつつ、自身の利益計算を行います。このとき重要なのが、仕入れ値だけでなく、販売手数料、送料、梱包材費といった「すべてのコスト」を正確に洗い出すことです。
これらのコストを差し引いても、自分が納得できる利益が残るように最終的な販売価格を設定します。もし価格設定に迷う場合は、最初は利益を少し抑えて相場よりやや低めに設定し、販売実績を積みながら最適な価格を探っていくのも有効な戦略です。
このように、市場の相場を理解し、自身のコストを正確に把握したうえで価格を設定することが重要になります。
レビュー・評価対策
お客様からのレビューや評価は、他の購入者が商品を選ぶ際の重要な判断材料になるため、売上を安定させるうえで欠かせない要素です。
多くの購入者は、商品ページの情報とあわせて、実際に購入した人の正直な感想を参考に購入を決定します。そのため、ポジティブなレビューが増えればショップへの信頼性が高まり売上につながりますが、逆にネガティブなレビューは購入をためらわせる直接的な原因となります。
良い評価を得るための特別な方法はなく、基本は「迅速な発送」「丁寧な梱包」「誠実な問い合わせ対応」といった地道な積み重ねです。一方で、もしクレームや低評価を受け取った場合は、その内容を真摯に受け止め、お客様へ誠実に対応し、今後の運営改善につなげていくことが求められます。
つまり、日々の顧客対応を丁寧に行い、良い評価を積み重ねていくことこそが、ショップの信頼を高める最も確実な方法になります。
出品数・在庫管理
出品数と在庫の管理は、売上機会と運営リスクのバランスを考えながら行う必要があります。
やみくもに出品数を増やすだけでは、売れ残った場合に在庫が負担となり、資金繰りを圧迫する原因になります。一方で、人気商品の在庫切れは、得られたはずの利益を逃す販売機会の損失に直結します。
とくに初心者のうちは、一度に多くの在庫を抱えるのではなく、まず少数の商品を出品して顧客の反応を見ることが有効です。その中で、よく売れる人気商品を見極め、その商品の在庫を徐々に増やしていく、という手順を踏みます。
最初から規模を追うのではなく、テスト販売の結果にもとづいて出品数や在庫量を調整していくことが、効率的な運営につながります。







