
あなたは、アパレル業界のEC利用が着実に増加していることをご存知ですか?近年、多くのブランドがオンライン販売を組み合わせることで事業を成長させています。
アパレル業界のECのトレンドとして、
- オムニチャネルによる販売チャネルの連携
- SNSやライブコマースを活用した集客
- D2Cによる他社との差別化
- リユース・リコマース・CtoCの急成長
が挙げられます。このようなオンラインを活用した戦略がアパレル業界のEC化率の増加を後押ししています。
本記事では、アパレル業界のECの市場規模、メリット・デメリット・成功事例・始め方・成功させるポイントまで詳しく解説します。
目次
アパレル業界のEC市場規模・トレンド・成長率

引用元:https://pixabay.com/photos/payment-online-payment-card-payment-4334491/
アパレルEC業界の現状を理解するために役立つ、市場規模・トレンド・成長率について解説します。
まず、ECとは「Electronic Commerce」の略で、電子商取引という意味です。簡単にいうと、インターネット上で商品を売買することを指します。つまり、アパレルECとは、ファッションアイテムをインターネット上で取引することを意味します。
市場規模とこれまでの成長率
2021年 | 2022年 | 2023年 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
市場規模(億円) | EC化率 | 市場規模(億円) | EC化率 | 市場規模(億円) | EC化率 | |
衣類・服飾雑貨等 | 24,279 (9.35%増) | 21.15% | 25,499 (5.02%増) | 21.56% | 26,712 (4.76%増) | 22.88% |
引用元: 令和4年度 電子商取引に関する市場調査、令和5年度 電子商取引に関する市場調査 -経済産業省
アパレル業界のECの市場規模は成長を続けており、2021年は24,279億円、2022年は25,499億円、2023年は26,712億円となっています。
一方で、経済産業省の令和5年度 電子商取引に関する市場調査によると、1世帯あたりの衣類・服飾雑貨の年間平均支出金額は、2019年から2023年まで右肩下がりの状況です。
時期を加味すると、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、外出機会が減ったことが年間平均支出金額に影響を与えていると考えられます。
今後の見通しと成長率予測
アパレル業界のECは、市場規模とEC化率が上昇していることを踏まえると、今後も成長を続ける可能性が高いです。
市場規模は、2022年は前年比で5.02%増加、2023年は前年比で4.76%増加しています。EC化率は、2022年は前年比で0.41ポイント増加、2023年は前年比で1.32ポイント増加しています。
外出機会の減少によりオンラインでの商品の購入がより一般的になったことで、アパレル業界のEC化は着実に進んでいくと考えられるでしょう。
現状のアパレルEC市場のトレンド
オムニチャネル・D2C・SNS・ライブコマースの台頭といった、現状のアパレルEC市場のトレンドについて解説します。
オムニチャネル
オムニチャネルとは、実店舗・EC・アプリ・SNSなどの多様な販売チャネルを連携させ、消費者に一体化した購買体験を提供する戦略です。
アパレル業界でトレンドとなっている理由として、消費者の購買行動の多様化していることが挙げられます。スマホの普及やコロナ禍の影響により、今まで一般的だった「実店舗で商品を探して購入する」という行動は変化しました。
- 1. スマホで商品を探す
- 2. SNSで口コミを確認
- 3. 実店舗で試着
- 4. ECサイトで購入
といったように、さまざまなチャネルを消費者は行き来します。
このような消費者の変化に対応するため、SNSへの投稿促進やECサイトでの購入の導線を設ける企業が増加しています。消費者との接点を増やし、実店舗・ECサイト・SNSで総合的に販売を拡大するため、アパレル業界ではオムニチャネルがトレンドになっているのです。
D2C化
D2Cは「Direct to Customer」の略で、中間流通を省いて自社ECサイトやSNSを通して消費者に商品を直接販売するビジネスモデルです。
アパレル業界のECでD2Cがトレンドになっている理由として、他社との差別化と消費者との接点の強化が挙げられます。
自社ECやSNSでブランドの世界観やストーリーを直接伝えられるため、他社との差別化が図りやすいです。新しい情報をスピーディーかつダイレクトに伝えられるので、ファン化やコミュニティの醸成にも役立ちます。
また、中間業者を通さないため、自社で販売・顧客管理が行えます。取得したデータを分析することで、効果的なマーケティング戦略を打ち出すことが可能です。
D2Cはアパレル業界だけでなく、EC全体のトレンドとして注目されています。
EC化率の堅調な成長
前述のとおり、EC化率が年々増加していることもアパレル業界のECのトレンドといえるでしょう。
スマホ利用によるモバイルEC(M-Commerce)の進展も、EC化率の増加の要因の1つです。モバイルECを利用すれば、いつでもどこでも好きなタイミングで買い物ができます。それにより、実店舗の利用に対する依存度は低下し、ECの利便性に対する評価が高まっています。
SNS・ライブコマースの台頭
SNSやライブコマースの台頭は、アパレル業界のECにおいて注目すべきトレンドです。
ライブコマースとは、ライブ配信とECを組み合わせた販売手法です。YouTube・Instagram・TikTokなどで配信者が商品を紹介します。視聴者は質問やコメントを行い、気に入れば配信画面から購入します。
「生地感について教えてください」「サイズ感は?」などの質問に対してその場で答えてもらえるので、オンラインでも実店舗に近い体験ができることが特徴です。また、配信を楽しみながら購入できるエンタメ要素や、タップ1つで購入できる仕組みも購入を後押ししています。
例えば、ユニクロやZOZOTOWNは、アプリやライブ配信によって積極的に購買体験を促進しています。また、TikTokもアプリ内で商品を購入できるEC機能「TikTok Shop」をリリースしました。
アパレル業界のECにおける新たな購買体験を提供するライブコマースは、今後も活用が進んでいくことが予想されます。
リユース・リコマース・CtoCの急成長
項目 | リユース | リコマース | CtoC |
---|---|---|---|
定義 | 使われなくなった衣服やアイテムを再利用する動き | 中古アイテムを再販する仕組み | 個人間で売買を行うECプラットフォーム |
主体 | 消費者や企業による再利用 | 企業や事業者が主導する再販モデル | 消費者同士(個人間) |
代表例 | 古着の再利用、リメイク | ブランド公式リコマースサイト、企業による買い取り再販 | メルカリ、ラクマ、ヤフオク |
特徴 | 廃棄を減らし資源を活用 | 中古品を流通に乗せて再販 | 個人同士が直接やりとりできる |
背景 | サスティナビリティ・環境配慮・循環型消費 | 中古市場の拡大、企業の参入 | 個人の手軽な売買ニーズ、スマホ普及 |
リユース・リコマース・CtoCといった中古の流通や個人間取引は、アパレル業界のECにおいて売買が活発化しています。
リユースは、使われなくなった衣服を再利用する動きです。リコマースは、中古アイテムを再販する仕組みです。また、メルカリを代表とするCtoC(Customer to Customer)は、個人間で売買を行うプラットフォームの役割をするECを意味します。
このような中古品の売買が活発になっている背景として、サスティナビリティ意識の高まりが挙げられます。環境への配慮に対する関心が高まっており、中古品の購入が「安く買えるから」という経済的な理由だけでなく、エシカルな消費としても評価されています。
代表的なアパレル業界のECの種類

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項目 | 自社EC型(D2C型) | モール型EC | CtoC・マーケットプレイス型 |
---|---|---|---|
定義 | ブランドやメーカーが自社で構築・運営する公式オンラインストア | 複数のショップが集まるショッピングモール形式EC | 消費者や小規模バイヤーが出品できるプラットフォーム |
主体 | 企業・ブランドが直接運営 | モール運営企業がプラットフォームを提供 | 消費者・個人出品者 |
メリット | ・ブランディングを自由に表現できる ・価格・在庫・顧客対応をコントロール可能 ・顧客データを蓄積でき、LTV向上に活用できる ・利益率が高い | ・モール自体の集客力が高い ・知名度が低くても販売しやすい ・セール・イベントによる販売拡大が可能 | ・出店費用がかからず誰でも出品可能 ・中古・限定品など掘り出し物が見つかる ・利用者数が多く市場規模拡大中 |
デメリット | ・集客をゼロから行う必要あり ・広告運用やマーケティングの知識・コストが必須 | ・出店料・手数料が発生 ・顧客情報をモールが管理するため、活用制限あり ・ブランド独自の世界観を出しにくい | ・偽造品やトラブル発生リスクがある ・返品・保証の仕組みが弱い ・プラットフォームの管理体制が課題 |
代表例 | ユニクロ、H&M、ZARA | Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWN | メルカリ、ラクマ、ヤフオク |
上記の自社EC、モール型、CtoC・マーケットプレイス型といった代表的なアパレル業界のECの種類について、以下でそれぞれ詳しく解説します。
自社EC型(D2C型)
自社EC型は、メーカーやブランドが顧客向けに構築・運営する公式オンラインストアです。
ブランドが自身で管理できるので、コンテンツ・価格・在庫・顧客対応をコントロールできます。中間業者を介さないので、利益率が高いことも特徴です。
また、販売や閲覧といった顧客データを蓄積できることもポイントです。独自のブランディング顧客体験の提供が行いやすいため、施策を通じたLTV(顧客生涯価値)の向上がスムーズに行えます。
集客が0の状態から構築する必要があり、EC運用・広告運用・マーケティングなどの一定の知識とコストが不可欠です。
モール型EC
モール型ECは、複数のブランドやショップが集まる大型ショッピングモール形式ECです。
モール自体の集客力が高いため、ブランドとして認知が低い段階でも売上が立てやすいという特徴があります。大量の消費者が集まるため、セールやイベントへの参加で新規顧客獲得や販売拡大の効果が期待できます。
一方で、出店料や販売手数料などの負担があることがデメリットです。顧客の情報は基本的にモール側が得るため、マーケティングやリピーター獲得の施策へのデータ活用は制限されます。また、モールへの出店となるため、ブランドの独自の世界観も打ち出しにくいです。
CtoC・マーケットプレイス型
CtoC・マーケットプレイス型は、消費者同士や小規模のバイヤーが主に出品するECプラットフォームです。リユース市場の成長と共に、さらに市場規模が拡大することが予想されます。
出店に関する初期費用がかからず、誰でも気軽に出品できることが特徴です。中古品がメインとなるため、限定商品や希少なアイテムといった掘り出し物やお手頃価格のアイテムを探せる場として人気を集めています。
基本的に個人間のやりとりとなるため、正規品保証や返品・トラブル対応の仕組みの整備が課題です。偽造品の販売やトラブル発生時のリスクは残っていて、プラットフォーム側の管理体制が重要視されています。
アパレルECの成功事例

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自社EC型、モール型、CtoC・マーケットプレイス型のアパレル業界のECの成功事例について、以下でご紹介します。
成功事例1:ユニクロ

引用:https://www.uniqlo.com/jp/ja/
ユニクロは国内最大級のファストファッションブランドで、グローバル展開も積極的に行っているSPA(製造小売業)です。実店舗・EC・アプリなどを組み合わせたオムニチャネルの強化を中心とした戦略により、自社ECの売上を伸ばしています。
実店舗・アプリ・ECを連携させ、商品検索・在庫検索・店舗受取・返品交換といった対応を柔軟に行っています。AIを活用したレコメンド機能や、ファッションSNSアプリ「Style Hint」によるコーディネート提案によって消費者の購買体験を充実させています。
また、企画・生産・物流・販売を一貫して管理することで、高品質で低価格な商品を実現していることがユニクロの大きな強みです。その強みを活かした幅広い顧客層のブランド認知の拡大が、ECへの集客を後押ししています。
成功事例2:ZOZOTOWN

ZOZOTOWNは、国内最大級のファッション専門のモール型ECです。トレンドからハイブランドまで、9000以上のブランドを扱っています。ZOZOTOWNは、ファッション特化型モールとして若年層に支持され、1000万人を超える会員数を誇ります。
ZOZOTOWNは使いやすいユーザーインターフェースを始め、ユーザーの購買体験を追求したことが成功の要因として挙げられます。例えば、ZOZOSUITやZOZOMATといったサイズ計測に関する独自のサービスを提供し、アパレルECのサイズに関する不安を解消しました。
また、消費者の購買動機の多様化のため、セール、ポイント制度、コーディネートアプリ「WEAR」、ライブコマースなどを組み合わせています。
成功事例3:メルカリ

メルカリはアパレルを始めとした中古品取引に強みを持つ国内最大級のCtoCプラットフォームです。成功の背景として、誰でも簡単に不用品を売買できるという明確な価値を創造したことが挙げられます。
スマホネイティブ世代に合わせた使いやすいユーザーインターフェースで、すぐに出品できるシンプルさが利用の拡大につながりました。売上をメルペイとして使えるといった仕組みを構築し、循環した利用を促進しています。
中立的な第三者が売買の間に入るエスクロー決済や匿名配送を導入するなど、CtoCにおいて課題となる安心・安全に配慮したこともポイントです。レビュー・評価制度を設けることで個人間取引の不安を軽減し、市場を拡大しています。
アパレルECサイトのメリット・デメリット

引用元:https://pixabay.com/photos/female-diary-journal-write-865110/
アパレルECサイトは、24時間販売ができ、販路を拡大できるといったメリットがあります。一方で、商品の詳細が伝えづらい、構築や運用にノウハウが必要といったデメリットもあります。
以下で、アパレルECサイトのメリット・デメリットについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
メリット
24時間購入可能、自宅に商品が届く、比較・検索が行いやすい、販路拡大、固定費が抑えられるといったアパレルECサイトのメリットについて解説します。
24時間いつでも購入可能
アパレルECサイトは実店舗と違って営業時間に縛られないため、消費者は24時間好きなタイミングで買い物ができます。仕事や家事で忙しい層、深夜・早朝に利用したい層のユーザーに対して、販売機会の損失を防ぐことが可能です。
店舗に行かずに商品が届く
実店舗に行くことなく商品が届くことは、地方や海外に住む消費者の獲得につながります。消費者は自宅にいながらショッピングが完結するので、交通費や移動時間なしで商品を購入できます。
比較・検索がしやすい
アパレルECサイトは商品を一度に検索・比較できるため、消費者は効率的に欲しいものを見つけられます。レビュー・検索フィルター・レコメンドといった機能を追加すると、消費者の購買体験の後押しが可能です。
全国・世界に販路を拡大できる
アパレルECサイトは実店舗に依存せずに販売が行えるので、日本全国や海外に販路を拡大できます。海外の消費者向けに販売を行う越境ECの市場は拡大しているため、海外需要の取り込みはアパレルECサイトの成長戦略において重要なポイントです。
在庫や販売データを蓄積・分析しやすい
アパレルECサイトの運営を続けることで、利用者の販売履歴や行動データを蓄積できます。データを分析することで、購買傾向の把握や需要予測が可能です。それにより、データを元にした在庫管理やマーケティング施策の実施も実現できます。
人件費・家賃など固定費が抑えられる
アパレルECサイトは実店舗とは違って人員や店舗が不要なので、人件費・家賃といった固定費が抑えられます。抑えた固定費を広告運用や物流強化などに回すことで、効率的な経営が実現可能です。
デメリット
試着ができない、交換・返品対応の負担、ノウハウが必要といったアパレルECサイトのデメリットについて解説します。
試着できない・サイズ感が不安
アパレルECサイトは、実店舗がないため試着ができません。実際に着てみないとサイズ感やフィット感はわかりにくいため、消費者が購入をためらう要因となります。このような不安は、バーチャル試着やサイズ診断といった機能の提供で軽減が可能です。
色味・質感が画面ではわかりづらい
スマホやパソコンの画面では商品の色味や素材感が伝わりにくいため、「イメージと違った」という不満につながるリスクがあります。高品質画像、動画、ライブコマースなどで、商品についてわかりやすく伝える動きが進んでいます。
サイズ交換・返品対応の負担
アパレルECサイトは「サイズが合わなかった」「イメージと違った」といった理由で、サイズ交換や返品が発生しやすいです。それにより、返品送料・代替商品の発送・再販コストなどの負担がかかります。
初期構築・運用に専門的なノウハウが必要<
アパレルECサイトを経営するには、初期構築・運用に専門的なノウハウが必要です。自社ECを立ち上げるには、システム構築・デザイン・決済・物流・セキュリティ対策などの幅広い分野に対する知識が求められます。
そして、運用後は集客のためのマーケティングが不可欠です。リソースの確保は、アパレルECサイトを始めるうえで、大きなハードルといえるでしょう。
アパレルECサイトの始め方

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コンセプトの決定、商品の用意、ECサイトの構築といった、アパレルECサイトの始め方について解説します。これからアパレルECサイトを始めたい方は、ぜひ参考にしてください。
① コンセプトを決める(誰に、何を、どう届けるか)
アパレルECを始める際は「誰に向けたブランドなのか」を明確にすることが大切です。
「30代女子×きれいめカジュアル」「20代男性×ストリート」など、年代・性別・ファッションテイストを細かく設定します。さらに、価格帯や通勤・休日・旅行など利用シーンを定めると、ターゲットがより鮮明になります。
そして、「なぜこのブランドを選ぶのか?」という理由を伝える世界観やストーリーも考えましょう。世界観は、ECサイトのデザインやSNSの発信といったすべてのアクションに直結します。一貫した世界観を持つブランドは、ファンがつきやすくリピート購入につながります。
② 商品を用意する(仕入れ or オリジナル制作)
商品の調達は、大きく分けて仕入れとオリジナル制作の2種類があります。
仕入れは、セレクトショップのようにブランドやメーカーから商品を購入して販売します。他のECサイトと被らず、世界観に合ったEC映えする商品を選ぶことが仕入れのカギです。
オリジナル制作は、自社ブランドとして企画・生産を行って販売します。商品が被らず、世界観を反映しやすいことがオリジナル制作のメリットです。ただし、発注の最小ロット数の確認や納期管理に注意が必要です。
いずれの商品の調達方法でも、サイズ・カラー展開が多いため在庫管理が重要です。実店舗のように試着できないため、「画像で魅力が伝わる服」を意識して商品選定や制作を行いましょう。
③ 販売する場所(ECサイト)を選ぶ
コンセプトと商品が決まったら、自社型ECやモール型ECといった販売する場所を選びます。
ECサイトを1から構築するという選択肢もありますが、初期構築や運用に大きなコストがかかります。そのため、最初の一歩はECプラットフォームの利用が一般的です。
固定費を抑えて小規模でスタートしたい初心者には、BASEやSTORESといった簡単に立ち上げられるサービスがおすすめです。
販路や顧客基盤を持っている、リソースがあるといった中級者以上には、カスタマイズが行いやすいイージーマイショップやShopifyがおすすめです。アパレル向けのテンプレートも豊富で、カテゴリ設定や絞り込み機能も利用できます。
モールへの出店は、集客力の高さが魅力です。ただし、出店審査・手数料・顧客情報の取得に制限があります。また、モールに合わせたデザインになるため、ブランド独自の世界観を打ち出しづらい点にも注意が必要です。
アパレルECサイトは画像やデザインの見せ方が売上に直結します。そのため、デザインの自由度も選ぶポイントになります。
④ 商品ページ(サイト)を作る(写真+説明)
アパレルECサイトにおいて商品ページは、店舗の接客にあたるため非常に重要です。見た目の説得力を意識して、商品撮影のクオリティにはこだわりましょう。
写真は商品・モデル着用カット・ディテール・全身コーディネートなど、イメージがより具体的に伝わるように複数用意します。
商品説明には「どのようなシーンで活躍するか」「おすすめコーディネート」を具体的に書くと消費者の購買意欲を高められます。平置き採寸やモデルの身長・着用サイズを記載し、着用感に関するコメントを入れると、返品リスクの軽減が可能です。
⑤ 集客する
どれだけ良い商品やECサイトを用意しても、集客できなければ売上は伸びません。集客を行う際は閲覧数やフォロワー数をただ増やすのではなく、ブランドのファンを増やすという意識が重要です。
具体的な集客の方法として、SNS・オウンドメディア・広告などが挙げられます。
InstagramやTikTokといったSNSは、ビジュアルを打ち出した発信に強いです。ファッション系は拡散されやすいため、コーディネート動画やライブ配信で商品を紹介すると効果的です。
オウンドメディアは、検索で上位されやすいようにSEOを意識したコンテンツを作りましょう。ファッションに関するトレンド記事やコーディネート提案記事を発信して、検索流入を狙います。
Instagram広告やGoogleショッピング広告などは大きな集客効果が期待できます。ただし、コストがかかること、モデルやビジュアルの良し悪しで購入率が大きく変わることに注意が必要です。
アパレルECサイトは作って終わりではありません。集客とファン育成に関する継続的な仕組みづくりが、成功の分かれ目となります。
アパレルECサイトを成功させるためのポイント

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コミュニティやファンの醸成につながるアパレルECサイトを成功させるための5つのポイントについて解説します。
①「誰か一人に深く刺さるブランドを作る」視点
「これは私のためのブランドだ」と思えるような、一人に深く刺さるブランドを作るという視点はアパレルECサイトを運営するうえで大変重要です。
万人受けを狙うと誰の心にも響かず、埋もれてしまうのがアパレル業界です。具体的なたった一人の人物像を絞り込み、その人が買いたくなる理由を作りましょう。
共感や自己投影を生み、ブランドのファンを作ることがアパレルECサイトを成功させるカギです。
②「服ではなく、世界観とストーリーを売る」視点
消費者は服そのものよりも「ブランドの服を着ることで得られる体験や与えるイメージ」に価値を感じます。例えば「着ると洗練された印象を持たれる」「週末の旅行がさらに楽しめる」といった、感情やライフスタイルに訴えかける提案を行いましょう。
SNSや商品ページで世界観やストーリーを伝えることで、消費者はブランドに愛着を持ちやすくなり、リピート購入やファン化につながります。「着ることで何が変わるか」を伝えることを常に意識した訴求が大切です。
③「ECは店舗ではなくメディアである」視点
アパレルECサイトは単なる販売の場ではなく、ブランドを見せるためのメディアと捉えることが成功のポイントです。写真・文章・動画などのすべてのコンテンツが、ブランドの世界観を伝えるツールです。
毎日訪れたくなるような空気感のあるECサイトを目指し、買わせるコンテンツではなく見せるコンテンツとして編集していくと効果的です。
④「まず100人に買われるブランドを作る」視点
まずは100人の熱狂的なファンづくりを目指しましょう。最初から数万人のアクセスやフォロワーを目指す必要はありません。
SNSでの交流、丁寧なDM対応、購入者への感謝などを徹底し、ファンがファンを呼ぶ共感の連鎖を起こすことが大切です。少なくてもじっくり濃いファン層を育てることが、持続的に成長するブランドの土台になります。
⑤「売れなかった原因を自分ごととして捉える」視点
売上が思うように伸びないときは、原因は自分にあると考えて改善に取り組みましょう。「アルゴリズムの変化の影響」「景気が悪い」「時期が悪い」と外部要因を原因にすると、成長は止まります。
商品が弱いのか、写真や説明の伝え方が悪いのか、価格設定が合っていないのかなど原因を分析し、仮説を立てて改善を繰り返すことがブランドを成長させます。
売上の減少や停滞を「ブランドを育てていくためのプロセス」として捉える姿勢を持つことが、長期的なECサイトの発展を支えます。