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【2025年最新版】食品ECサイトを成功させるポイントを成功事例と共に分析

「食品ECサイトを始めたいけど、成功するのだろうか?」「他の業界と違って難しそうだけど、何から手をつければいいか分からない…」という声をよく聞きます。

食品ECで成功を収めるための最大のコツは、お客様が直接商品を見ることができない不安を解消し「あなたのお店だから買いたい」という信頼を築き、リピート購入へつなげる仕組みを作ることです。

この記事では、2025年の最新データに基づいた市場の現状分析から、具体的な成功のポイントや参考になる成功事例、そして避けては通れない法律・規制まで、食品ECを成功に導くためのポイントを解説します。

食品ECサイトの現状と市場規模

結論からいうと、食品EC市場は物販系ECの中で最大の市場規模を誇りながらも、EC化率は他分野に比べて著しく低く、極めて大きな成長の可能性を秘めた魅力的な市場であると言えます。

以下、データを元に詳しく解説します。

市場規模とEC化率の現状

食品EC市場の現在地を正確に把握するためには、「市場規模」が示す市場の大きさと「EC化率」が示す今後の成長ポテンシャルの両面を見ていく必要があります。ここでは、それぞれの現状を解説します。

市場規模

経済産業省の調査によると、2023年の「食品、飲料、酒類」分野のBtoC-EC市場規模は2兆9,299億円に達しました。これは前年から6.52%増の成長であり、物販系BtoC-ECの主要カテゴリーの中で最も高い伸び率を記録しています。

さらに「食品、飲料、酒類」は、物販系分野において最大の市場規模を誇るカテゴリーです。2020年に新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要で前年比21.1%増と急拡大して以降、市場規模は一貫して増加しており、安定的な拡大フェーズへと移行しつつあります。

EC化率

分野2023年のBtoC-EC化率備考
食品、飲料、酒類4.29%物販系全体(9.38%)と比較して半分以下
書籍、映像・音楽ソフト53.45%非常に高いEC化率
生活家電、AV機器、
PC・周辺機器等
42.88%高水準のEC化が進んでいるカテゴリー
物販系分野全体9.38%各カテゴリーの平均的な水準

2023年の「食品、飲料、酒類」分野のBtoC-EC化率は4.29%でした。この数値は、同年の物販系分野全体のEC化率である9.38%と比較すると半分以下であり、著しく低い水準です。「書籍、映像・音楽ソフト」(53.45%)や「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(42.88%)といったカテゴリーと比較しても、食品分野のEC化は相対的に遅れているのが現状です。

このEC化率の低さの背景には、消費者が「実物を見て鮮度を確かめたい」というニーズをもつことや、迅速な配送を維持するための物流コストの課題など、食品特有の性質があります。一方でこの低いEC化率は、裏を返せば極めて大きな成長ポテンシャルが存在することを示唆しています。

EC化が進みにくい理由

EC化が進みにくい背景には、いくつかの食品特有の課題が存在します。まず、生鮮食品などは鮮度を保つための厳格な温度管理が必要となり、これが物流コストを押し上げる一因となっているからです。また、日本では消費者が、「自身の目で見て品質を確かめたい」という購買習慣が強くあります。

さらに、食品は商品単価が比較的低いため、購入金額に占める配送コストの割合が大きくなりがちで、消費者に割高感を与えてしまうことも少なくありません。加えて、一度に大量にまとめ買いする文化がまだ十分に根付いていないことも、EC化が進みにくい原因と言えるでしょう。

これらの課題をいかにして乗り越えるかが、食品ECサイトの成功を左右する鍵となります。

食品ECサイトを成功させるためのポイント

市場の課題を理解したうえで、次なるステップは具体的な成功戦略です。食品ECサイトを成功させるうえで最も重要なことは、生鮮食品であれ加工食品であれ顧客が直接手に取れないからこそ生まれる不安を取り除き、品質への絶対的な信頼を勝ち取ることに尽きます。その信頼を土台として、リピート購入につなげる仕組みを構築することが重要なポイントです。

1. 鮮度・品質の信頼性の確保

ECサイトでは顧客が商品を直接手に取れないため、鮮度や品質への信頼性をいかに確保するかが重要なポイントです。たとえば、どのような人がどのような想いで作っているのかを伝える、「生産者ストーリー」や産地の情報を掲載し、作り手の顔を見せることで安心感を提供します。

また、「朝採れ直送」といった具体的な言葉や、シズル感のある高品質な写真を用いて品質の高さを視覚的に訴えかけることも重要です。さらに、商品の特性に合わせたクール便などの最適な配送方法を明記することで、品質管理へのこだわりと顧客への配慮を与えられます。

2. 物流・配送の最適化

顧客の信頼を得るためには、物流と配送の最適化も欠かせません。注文から商品が届くまでのスピードやお届け日時の指定、不在時の再配達への柔軟な対応は、顧客満足度を大きく左右します。

とくに、生鮮食品は受け取りのタイミングが重要になるため、きめ細やかな対応が求められます。また、「商品が傷んでいた」「配送が遅れた」といった万が一の事態に備え、返品・交換のポリシーをサイト上に明確に記載しておくことも、誠実な姿勢を示すうえで重要です。

3. 商品ラインナップと価値の明確化

ECサイトならではの付加価値を明確に打ち出すことも重要なポイントです。「このECサイトでしか買えない限定商品」や「市場には出回らない希少部位」など、明確な独自性を打ち出し、顧客に「ここで買う理由」を提供することが重要になります。

また、商品単価が低い場合は、魅力的な「お試しセット」を用意したり、お得な「定期購入プラン」を導入したりすることで、一度の購入単価と生涯顧客価値を高める工夫が必要です。

4. リピートにつながる仕組みづくり

顧客にファンになってもらい、繰り返し購入してもらう仕組みも構築しましょう。割引価格で継続的に商品が届く「定期便」や、購入金額に応じた「ポイント制度」、過去の購入履歴にもとづく「おすすめ機能」などは、リピート購入を促進するうえで非常に有効です。

それだけでなく、商品にお礼状やおすすめのレシピカードなどを同梱するといったアナログな手法もおすすめです。デジタルだけでは伝わらない温かみを演出し、顧客のエンゲージメントを高めるのに役立ちます。

5. 顧客の不安解消と信頼構築

顧客が抱える特有の不安を先回りして解消することも、信頼構築につながります。たとえば、アレルギー情報・添加物の有無・栄養成分表示・保存方法・賞味期限などを、商品ページに正確かつ詳細に記載することが挙げられます。

また、実際に商品を購入した他の顧客の声である「口コミ・レビュー」は、何よりの信頼の証です。いい評価だけでなく、ときには厳しい意見も真摯に受け止め公開することで、透明性の高い誠実な姿勢を示せます。

「送料はいくら?」といった頻出する疑問をまとめたFAQ(よくある質問)ページを充実させておくことも、顧客の不安を解消し、安心して買い物を進めてもらうために効果的です。

6. SEO・SNS・広告などマーケティング施策の最適化

どんなにいい商品やサイトを用意しても、顧客に知ってもらえなければ意味がありません。戦略的なマーケティングが不可欠です。食品は「トマト 栄養」「鶏胸肉 レシピ 簡単」といった「悩み系」や「レシピ系」のキーワードと相性がいいため、これらをテーマにしたブログ記事などから自社サイトへ誘導するSEOは有効な手法となります。

また、InstagramやYouTubeで”美味しそうな見た目を直感的に訴求したり、LINEやメールマガジンで一度購入してくれた顧客に情報をお知らせすることもおすすめです。ファンとの関係構築や再購入のきっかけづくりにつながります。

食品ECサイトの成功事例

ここでは、独自の戦略で成功を収めている食品ECサイトを5つピックアップし、その成功要因を詳しくご紹介します。

成功サイト1:オイシックス・ラ・大地 (Oisix ra daichi)

引用元:https://www.oisix.com/

サイトの特徴

子どもに安心して食べさせられる食材」をコンセプトに、有機野菜や特別栽培農産物や、無添加の加工食品などを提供する食品宅配サービスのリーディングカンパニーです。3つのブランド(Oisix・大地を守る会・らでぃっしゅぼーや)で、多様な顧客層(多忙な家庭・健康意識の高いシニア層など)に対応しています。

取扱商品

主力はミールキット「Kit Oisix」で、「20分で主菜と副菜が作れる」という利便性が魅力です。それによって生まれる時間を豊かな体験に充てる、「プレミアム時短」という価値を提案しています。

主な施策

「プレミアム時短」という独自の価値提案と、徹底した安全基準が強みです。SEOやSNS広告など多角的なデジタルマーケティングと、ブランドごとに明確化したターゲティングで市場をカバーしています。

ユーザビリティ

サブスクリプションモデルを事業の中核とし、安定収益を確保。ECサイトや専用アプリのUI/UX改善に継続的に注力し、顧客の声を商品開発に積極的に活用しています。

成功サイト2:食べチョク (Tabechoku)

引用元:https://www.tabechoku.com/

サイトの特徴

全国のこだわり生産者から、消費者が直接食材を購入できるオンライン産直プラットフォームです。生産者と消費者が直接コミュニケーションを取れる「顔の見えるつながり」が最大の特徴で、業界トップクラスの生産者数を誇ります。

取扱商品

全国の生産者が出品する、野菜や果物、肉や魚など多種多様な食材です。好みに合う生産者を選んでくれる野菜定期便「食べチョクコンシェルジュ」といったサブスクリプションサービスも提供しています。

主な施策

生産者を応援したいという「応援消費」のニーズに応え、強力なファンコミュニティを形成しています。創業者の「農業は儲からないという課題を解決したい」という強い想いとストーリーが共感を呼び、SNSとPRを駆使して認知度を向上させています。

ユーザビリティ

消費者が生産者に「ごちそうさま」のメッセージを送れる機能があり、コミュニティ形成を促進。高齢の生産者でも利用できるよう個別サポート体制も構築しており、プラットフォームとしての信頼性を高めています。

成功サイト3:カルディコーヒーファーム (KALDI COFFEE FARM)

引用元:https://www.kaldi.co.jp/ec/cmShopTopPage1.html

サイトの特徴

コーヒー豆と世界中から集めた珍しい食品を扱う食のセレクトショップです。「西洋の図書館」をコンセプトにした店内で、「宝探し」のような買い物体験が最大の魅力であり、オンラインストアはそれを補完する役割を担っています。

取扱商品

主力のコーヒー豆のほか、輸入食品やワイン、そしてカルディでしか手に入らない豊富なオリジナル商品を扱っています。オンラインストア限定の商品も展開しています。

主な施策

無料コーヒーサービスに象徴される、実店舗での圧倒的なブランド体験が最大の集客装置です。Instagramの活用や、オンラインとオフラインをつなぐ公式アプリでOMOを推進しています。

ユーザビリティ

オンラインストアのUI/UX改善に継続的に取り組んでおり、丁寧な梱包も高く評価されています。オンライン購入品の店舗受け取りサービスなど、OMO戦略を具体的に実施し、顧客の利便性を高めています。

成功サイト4:Minimal – Bean to Bar Chocolate – (ミニマル)

引用元:https://mini-mal.tokyo/

サイトの特徴

カカオ豆の選定から製造・販売までを一貫して行う「Bean to Bar」スタイルのクラフトチョコレートブランドです。D2Cモデルを採用し、フェアトレード以上の価格でカカオ豆を買いつけるなど、生産者との持続可能な関係構築も大切にしています。

取扱商品

世界各地の農園から厳選したカカオ豆の個性を最大限に活かした板チョコレートや、濃厚な生ガトーショコラなどを展開。毎月異なるテーマのチョコレートが届くサブスクリプションサービスも人気です。

主な施策

「Bean to Bar」製法が生み出す高品質な製品と、その背景にある深いストーリーテリングによる高いブランドロイヤルティが強みです。PR活動と顧客が生成したコンテンツ(UGC)の活用を中心とした、ファンベースのマーケティングに注力しています。

ユーザビリティ

ブランドイメージを体現する洗練されたECサイトで質の高い顧客体験を提供。相手の住所を知らなくても贈れる「eギフト」サービスなどギフト需要への対応も充実しており、オンラインでの認知と実店舗での深い体験をつなげる理想的なOMOの好循環を構築しています。

成功サイト5:nosh (ナッシュ)

引用元:https://nosh.jp/

サイトの特徴

低糖質・低塩分の健康的な食事を冷凍で届けるサブスクリプションサービスです。管理栄養士監修と一流シェフ開発による「健康と美味しさの両立」をコンセプトに、特定の顧客ニーズに特化しています。

取り扱い商品

すべてのメニューが、糖質30g以下・塩分2.5g以下という基準で開発された冷凍弁当やスイーツです。常時60種類以上の豊富なメニューを揃え、さらに毎週3つの新メニューを投入し、顧客を飽きさせません。

主な施策

「健康的な食事をしたいが、時間がない」という現代人の課題に明確なソリューションを提供。インフルエンサーマーケティングを積極的に展開し、利用回数で割引率が上がる「nosh club」という会員ランク制度で長期利用を促進しています。

ユーザビリティ

専用アプリでメニュー変更や配送スキップ、解約まで簡単に行える利便性の高さが特徴。顧客の声を基にUI/UXを常に追求し、「苦手食材フィルター」などのパーソナライズ機能も搭載しています。

食品ECサイトのメリット・デメリットと課題

食品ECサイトの運営には大きな可能性がある一方、特有の難しさも存在します。事業を開始する前に、両面を正確に理解しておくことが重要です。

メリット

食品ECサイトには多くのメリットがあります。最大の利点は、日本全国、さらには海外の顧客にも商品を届けられる、地理的制約のない販売が可能になることです。また、24時間365日販売できるため、機会損失を防げます。

ECサイトでは、購入者の年齢や購入履歴といった貴重な顧客データを蓄積・分析し、商品開発やマーケティングに活かすことも可能です。さらに、受注データと連携すれば在庫管理が効率化され、フードロス削減にもつながります。

サイトデザインやキャンペーンなどを自由に行える販促の自由度の高さや、商品の背景にあるブランドストーリーを丁寧に伝えられる点も大きな魅力と言えるでしょう。

デメリット

その一方で、デメリットも存在します。とくに生鮮食品は、収穫から顧客の手に届くまで、厳格な温度管理と鮮度維持が求められます。そのため、オペレーションの難易度が高いことが特徴です。また、食品には賞味期限があるため、販売予測を見誤ると大量の在庫を抱え、廃棄ロスにつながるリスクもあります。

冷蔵・冷凍配送はコストが高く、商品価格に転嫁しすぎると顧客離れを招き、自社で負担すると利益を圧迫するというジレンマも抱えています。何より、顧客が商品を直接見て確認できないため、サイト上の情報だけで購入を判断しなければならないという不安が常につきまとうでしょう。

ECサイト構築の際は、在庫管理の効率化を図れる機能がある、もしくは、ツールとの連携機能のある方法だと、運用がスムーズになります。たとえば、セールやクーポン・会員機能など、在庫状況に応じた販売戦略を実行できるようにしておくと、売上向上に効果的です。

食品ECサイトの開業と法律・規制について

食品ECサイトを安全に運営するためには、関連する法律や規制を正しく理解し、遵守することが絶対条件です。

保健所への届出・営業許可が必要

2021年6月の改正食品衛生法により、原則としてすべての食品販売事業者に対し、保健所への「営業届出」が義務化されました。オンラインでの食品販売もこれに該当し、厚生労働省の「食品衛生申請等システム」で手続きが可能です。

ただし、食肉製品・乳製品・弁当・総菜類・アイスクリーム類などを扱う場合は、届出より厳しい基準の「営業許可」が必要になるため、自社の商品がどちらに該当するか、必ず事前に管轄の保健所に確認してください。

食品表示法への対応(ラベル・サイト表示)

食品を販売する際には、食品表示法で定められた項目を商品パッケージやラベルに表示する義務があります。具体的には、以下のような項目です。

・名称
・原材料名
・内容量
・賞味期限
・保存方法
・製造者情報
・栄養成分表示など

とくに、アレルギー表示は重要で、以下の特定原材料7品目は表示が義務付けられています。

・卵
・乳
・小麦
・えび
・かに
・そば
・落花生

消費者庁は、ECサイト上でもこれらと同等の情報を提供することを強く推奨しているため、トラブルを避けるためにも商品ページに正確な表示情報を掲載しましょう。

通信販売に関する法律(特商法)の対応

ECサイトは特定商取引法(特商法)における「通信販売」に該当するため、同法で定められた項目をサイト内の「特定商取引法にもとづく表記」ページなどに明記する義務があります。

必ず表示が必要な項目として、以下に関する規定が挙げられます。

・事業者の氏名住所
・電話番号
・販売価格や送料
・代金の支払い方法と時期
・商品の引渡時期
・返品・交換
・キャンセル

これらの表示を怠ると行政処分の対象となる可能性があるため、必ず対応しましょう。


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