思いどおりの、ネットショップを。|イージーマイショップ

トップ コラム すべて リカーリングビジネスとは?メリット・デメリットと成功事例

リカーリングビジネスとは?メリット・デメリットと成功事例

売上が月ごとに大きく変動したり、新規顧客の獲得に追われて疲弊していませんか?
一般的なEC物販の場合、多くは「集客の手を止めた瞬間に売上が止まる」という悩みを抱えやすいです

そこで注目されているのがリカーリングビジネスです。サブスク型や定期購入を中心としたこのモデルは、

  • 安定的な収益の積み上げ
  • 顧客と長期的な関係を育てる仕組み
  • LTV(顧客生涯価値)を最大化できる構造

を展開しやすいのが特徴です。

本記事では、リカーリングビジネスの基本からメリット・デメリット、成功事例、始め方まで徹底解説します。

リカーリングビジネスとはなにか?

引用元: https://pixabay.com/photos/miniature-shopping-cart-shop-retail-7584887/

リカーリングビジネスとは、一定の周期で継続的に収益を得る仕組みを持つビジネスモデルです。リカーリングは英語で「Recurring」と表記し、「繰り返される」「循環する」といった意味があります。

ビジネスモデルは、大きく分けてフロー型とストック型に分類されます。ストック型ビジネスは、ざっくりいうと顧客と契約を結んで継続的に収益を得る仕組みです。リカーリングビジネスは、ストック型の代表的なビジネスモデルと言えます。

一方で、フロー型は商品やサービスを単発で販売し、その都度収益を得る仕組みです。例えば、コンビニやスーパーでの買い物、イベントチケットの購入、美容室の利用などが、フロー型のビジネスに該当します。

リカーリングビジネスの代表的な種類として、

  • デジタルサービス
  • 本体と消耗品
  • 食品宅配サービス

などが挙げられます。

リカーリングビジネスは、簡単にいうと「1回売って終わり」ではなく、「毎月や毎年など、定期的に売れる」といったビジネスモデルです

サブスクリプションとの違いは?

項目サブスクリプションリカーリングビジネス
定義定額制でサービスを利用する契約形式定期的に収益を得るビジネスモデル全般
料金体系毎月・毎年など、利用有無に関わらず一定料金が発生定額制に限らず、従量課金制なども含む
範囲リカーリングビジネスの一部サブスクリプションを含むより広い概念
代表例Netflix、Spotify、Microsoft 365、Adobe Creative Cloudサブスクリプション、従量課金サービス、定期購入
特徴利用者は「いつでも使える権利」を購入継続的な契約や利用を通じて収益を得る

サブスクリプションは、リカーリングビジネスの中の形態の1つです。一般的には同義で使われる場合も多く見られます。

厳密には、サブスクリプションは定額制でサービスを利用する契約形式を指します。一方で、リカーリングビジネスは、定期収益を得るビジネスモデル全般を指します。

サブスクリプションの例として、Netflix・Spotify・Microsoft 365・Adobe Creative Cloudなどが挙げられます。このようなサービスは、利用の有無に関わらず、毎月一定の料金が発生します。

継続契約に基づく電気・ガス・水道代などは、使った分だけ料金が発生する従量課金制のサービスです。そのため、リカーリングビジネスではありますが、サブスクリプションには含まれません。

サブスクリプションは、リカーリングビジネスの1つとして捉えるとよいでしょう。

リカーリングビジネスのメリット・デメリット

引用元: https://pixabay.com/photos/working-female-work-desk-office-791849/

リカーリングビジネスには、お客様のLTVを最大化でき、収益が安定するなどのメリットがあります

一方で、リカーリングビジネスを始めたいという場合には、セキュリティが高い複雑なシステムの構築が必要で、解約のリスクが常にあるといった気をつけたいデメリットを理解することも大切です

以下でリカーリングビジネスのメリットとデメリットについて、それぞれ詳しく解説します。

メリット

リカーリングビジネスを行う主なメリットは、収益の安定顧客のLTVの最大化顧客との関係構築マーケティングコストの効率化多様な事業への応用の5つです。

収益が安定しやすい(ストック型収入)

リカーリングビジネスは継続利用が前提となるため、契約が獲得できれば収益が安定しやすいです。毎月や毎年など定期的に売上が見込めれば、将来の収益予測も立てやすくなります

また、顧客を一定数獲得できれば、購買やサービス利用に関するデータが収集可能です。それにより、顧客に合わせたマーケティングがスムーズに行え、長期的な販売戦略が立てやすくなることもメリットです

顧客のLTV(生涯価値)を最大化しやすい

リカーリングビジネスは、顧客が利用を長期間継続すれば売上・利益が増えるため、顧客のLTVを最大化しやすいです。LTVとは「Life Time Value」の略で、「1人の顧客が生涯を通じて会社にもたらす利益や売上の合計」を意味します。

簡単にいうと、最初の1回の購入だけでなく、リピート購入や追加購入の合計がLTVです

リカーリングビジネスは、サービスや商品の利用による体験を向上を目的に、顧客単価を上げるアップセル、関連商品の購入によるクロスセルの導線の設計が行いやすいです

継続利用が前提となり、アップセル・クロスセルが狙いやすいため、リカーリングビジネスはLTVの最大化を図りやすいビジネスモデルと言えるでしょう。

顧客との関係性を深めやすい

リカーリングビジネスは、定期的に顧客との接点が得られるため、関係性を深めやすいです。例えば、顧客からのサービスや商品に関するフィードバックをもらうことで、それを元にした改善が可能です。

新たな機能やコンテンツの追加、商品の品質向上を行い、それを顧客が利用しフィードバックをもらうというサイクルが回せます。自らの声が反映され、体験に対する満足度が向上すれば、商品やサービスに対するコミュニティ化やファン化も期待できます

マーケティングコストの効率化

マーケティングコストを回収しやすく、顧客獲得の施策が立てやすいこともリカーリングビジネスを行うメリットです。

まず、リカーリングビジネスは1人の顧客から継続的に売上が得られるので、新規顧客獲得のためのマーケティングコストが回収しやすいです

また、顧客が続けて利用している状態は、サービスや商品に一定以上満足している状態と言えるでしょう。そのため、レビューの依頼や他の顧客を紹介してもらうリファラルの施策も、効果的に行える可能性が高いです

事業のバリエーションが豊富

リカーリングビジネスは、SaaSだけでなくエンターテイメント・教育・食品・アパレル・健康・美容などの幅広い業界の事業に応用できます。

SaaSは「Software as a Service」の略で、インターネットを通して利用できるソフトウェアの提供形態のことです。Salesforce・Microsoft 365・Gmailなどが、代表的なSaaSです。

リカーリングビジネスは、サブスクによる定額購入、従量課金制のサービス購入、消耗品の定期購入など、さまざまな形態で提供できます。このように、リカーリングビジネスはさまざまな事業に対応できるため、既存の事業の売上拡大のために取り組むことも可能です

デメリット

リカーリングビジネスには多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。以下で、解約リスク初期の利益の確保の難しさ顧客満足度の維持複雑なシステム構築契約周りの整備といったリカーリングビジネスのデメリットについて解説します。

解約リスクが常にある

リカーリングビジネスには、顧客のライフスタイルやニーズの変化、競合サービスへの乗り換えなどに解約リスクが常に存在します。

リカーリングビジネスは、継続利用によって利益が増えるビジネスモデルですので、契約期間が短ければ利益は少なくなります。短期間での解約が多ければコストの回収が難しくなり、安定した事業の継続が難しくなるでしょう。

新規顧客の獲得だけに目を向けるのではなく、顧客がサービスを解約する割合を示す指標であるチャーン率もしっかりと管理することが大切です。解約理由の分析と改善施策を行うことは、リカーリングビジネスにおいて必須と言えるでしょう。

初期の利益が出にくい

サブスク型や定期購入などにより利益を得るリカーリングビジネスは、初期段階では利益が出にくい傾向があります。そのため、広告や営業活動にコストを割いても、その回収には時間がかかります。

短期的な利益を追求するのではなく、中長期的な収益化を前提として事業計画を立てることが必要です。予算に余裕を持たせ、リカーリングビジネスを事業として育てるという考え方を持ちましょう。

顧客満足度を維持し続ける必要がある

リカーリングビジネスは、継続利用をしてもらうために顧客満足度を維持し続ける必要があります。定期的に料金が発生するので、利用している価値を感じてもらい、商品やサービスに満足してもらえなければ解約される恐れがあります。

顧客満足度を高く維持するには、定期的なアップデート、新機能の追加、サポート体制の充実といった継続的な改善が求められます

複雑なシステム・決済構築が必要

リカーリングビジネスには、定期課金や契約管理を行うための決済や顧客情報管理を行うシステムが必要です。決済対応・自動更新・セキュリティ対策など、運用方法も複雑になります。

このような複雑なシステムは、初期構築や保守にもコストがかかります。それだけでなく、法令や規約の変更があった際に、柔軟に対応できるカスタマイズ性も不可欠です。また、トラブルが発生した際のカスタマー対応にもコストがかかることを覚えておきましょう

会計・契約周りの整備が必要

リカーリングビジネスを行うには、継続課金に伴う会計や契約周りの整備が必要です。売上の計上のタイミングの設定、自動更新のルール設定、返金対応など、単発の売上とは異なる対応が求められます

  • 利用規約・解約ポリシーの作成
  • 契約書の整備
  • 個人情報保護法への対応
  • 特定商取引法への対応
  • 消費者契約法への対応
  • 決済関連ルールの整備

など、法律や規制の要件を満たす体制づくりも必須です。

リカーリングビジネスの成功事例

引用元: https://pixabay.com/photos/money-coin-investment-business-2724241/

リカーリングビジネスの企業の成功事例についてご紹介します。企業の概要、事業のビジネスモデル、成功している理由について解説しますので、これからリカーリングビジネスを始めたい方はぜひ参考にしてください。

Salesforce(セールスフォース)

Salesforceは、CRMプラットフォームを提供する世界的な企業です。CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、顧客関係管理を意味します。

Salesforceは、サブスク型のクラウドサービスによるリカーリングビジネスを展開しています。SaaSの形態で、営業・マーケティング・カスタマーサービスなどのシステムが利用可能です。顧客は月単位・年単位でライセンスを契約し、必要に応じて機能やサポートを追加します。

リカーリングビジネスで成功している要因として、企業の規模や用途に応じて柔軟に拡張が行えることが挙げられます。それにより、顧客の満足度を高めると同時に、アップセル・クロスセルを狙うことが可能です

また、サブスクの提供によってデータを集めてサービスに反映し、継続率の改善に努めていることもポイントです

Adobe

Adobeは、PhotoshopやIllustratorなどのクリエイティブ系のソフトで知られるソフトウェア企業です。Adobeは、リカーリングビジネスとして月額・年額で利用できるサブスク型のクラウドサービス「Adobe Creative Cloud」を提供しています。

Adobeがリカーリングビジネスで成功した背景として、パッケージ販売から定額課金のサブスクに移行したことがあります。単発の売上から定期的な売上に転換したことで、収益が安定して顧客との接点も確保できました。

定期的なアップデートや新たなクラウド機能の提供により、サービスの解約を防いでいます。また、サブスクによって得たデータを活かし、法人向けマーケティングや分析系へもビジネス領域を拡大しています

Microsoft

Microsoftは、Windows・Microsoft Office・クラウドコンピューティングサービス・AIなど、多角的に事業を展開する世界有数のテック企業です。

Microsoftの代表的なリカーリングビジネスは、Microsoft 365やMicrosoft Azureといった定期課金型クラウドサービスです。個人向けにはサブスク、企業向けにはライセンス契約とクラウド利用料によって従量課金と定期契約によって継続的な収益を得ています。

Office製品をMicrosoft 365によってサブスク化したことで、個人向けと企業向けの継続収益が増大しました。そして、Microsoft Azureの成長により、企業向けのリカーリングビジネスにおいて継続収入を確保しています

Microsoftは幅広いサービスを提供することで、顧客の囲い込みに成功しました。そして、その多様なポートフォリオによってアップセルやクロスセルを実現し、LTVを高めています

Oisix(オイシックス)

Oisixは、選りすぐりの食材や惣菜などの宅配サービスを展開する日本の企業です。食の好みやライフスタイルに合わせた利用が可能で、安全性にこだわった安心な食材を提供して顧客の支持を集めています。

Oisixは、会員による食材の定期購入によるリカーリングビジネスを行っています。食材は、生活に欠かせない商品です。そのような生活必需品に対して、安心感と満足感を付加することで定期購入を促しています。

また、アプリでの注文や変更が柔軟に行えるといった利便性の高さで、継続率を高めていることも成功した要因の1つですお得なお試しセットの提供から、定期購入へとつなげる新規顧客の仕組みも整えられています

楽天グループ

楽天グループは、EC・金融・通信・デジタルサービスといった幅広いビジネス領域を横断して事業展開を行う日本の企業です。

楽天グループはその事業の多様性を活かして、複数のリカーリングビジネスを展開しています。楽天グループのリカーリングビジネスの例として、

  • 楽天市場の定期購入
  • 楽天モバイルの月額契約
  • Rakuten TVの動画配信サービス

などが挙げられます。

楽天グループのリカーリングビジネスの強みは、事業領域の広さによって複数の収益源があることです。また、楽天ポイントや会員特典などによって楽天グループのプラットフォーム内の回遊や継続を促し、LTVを総合的に高めています

ネスレ日本

ネスレ日本は、世界でも有数の食品・飲料企業の日本法人です。コーヒーを始め、チョコレートやペットフードなど幅広い商品の販売を行っています。ネスレ日本の代表的なリカーリングビジネスとして、カプセル式コーヒーの定期購入や定期お届け便が挙げられます。

日常で消費される商品を扱っているため、定期購入の定着率が高いことが特徴です。また、注文忘れの防止、お届け日の変更、商品の変更など定期購入の利便性を打ち出すことで、顧客の継続利用につなげています

リカーリングビジネスの始め方

引用元: https://pixabay.com/photos/money-computer-desk-finance-931423/

ビジネスアイデアの明確化、商品・サービスの設計、継続利用の仕組みづくりなど、リカーリングビジネスの始め方について以下で解説します。

① ビジネスアイデアを明確化する

リカーリングビジネスを始めるには、ビジネスアイデアを明確化し、継続利用される必然性があるか見極めましょう。リカーリングビジネスには、向いている3つの分野があります。

1つ目は、健康・教育・情報・消耗品といった継続的なニーズがある分野です。2つ目は、運動・学習・音楽・動画サービスといった生活の中で習慣化されやすい分野です。3つ目は、ファン化したり仲間意識を醸成できるコミュニティ性の高い分野です。

これらの分野に属しているビジネスアイデアであれば、リカーリングビジネスとして成功する可能性が高まります。

② リカーリング化できる商品・サービスを設計する

次に、明確化したビジネスアイデアを元に具体的な商品やサービスの設計に落とし込みます。

リカーリングビジネスを始めるうえで大切なのは、顧客が「継続して利用したい」と思える商品やサービスを提供することです。代表的なリカーリングビジネスの形式として以下が挙げられます。

方式
コンテンツ配信型メール講座、動画配信、PDF、テンプレートなど
定期配送型サプリ、コスメ、食品、消耗品など
会員制サービス型オンラインサロン、スキルシェア、限定情報提供
ソフトウェア利用型SaaS、ツール、アプリ課金

 「何を継続して届けるのか」「なぜ顧客が続けて利用したくなるのか」を具体的にして、商品やサービスの設計を行うことが重要です。

③ 課金モデル・価格を決める

課金モデルや価格を決める際には、継続のしやすさとLTVの最大化のバランスを考えましょう。代表的な課金モデルと特徴を以下の表にまとめました。

モデル特徴
月額制一般的。ハードルが低く、継続につなげやすい
年額制月額よりもLTVが高くなりやすい(割引あり)
分割払い型高額商品のサブスク化(例:月額で5,000円×12回)

リカーリングビジネスを始めた初期段階では、無料トライアルや価格を下げることで利用のハードルを下げるというアプローチも有効です

また、価格設定だけでなく、アップセルやクロスセルの工夫も検討しておくとよいでしょう。

  • アップセル:上位プラン、ファミリープランなどへの移行による顧客単価アップ
  • クロスセル:追加オプション、関連商品の購入による顧客単価アップ

このような手段を組み合わせることで、顧客の満足度向上に継続とLTVの最大化を同時に狙うことが可能です

④ 継続利用の仕組み(UX)をつくる

新規契約を獲得した後に使い続けてもらえる仕組みをつくることが、リカーリングビジネスを成功させる鍵です。使い続けもらえる仕組みづくりの取り組みとして、以下の例が挙げられます。

  • 更新世:定期的に新しいコンテンツが届く
  • パーソナライズ:データから顧客の好みや状況に合わせた商品やサービスを提案
  • 習慣化支援:リマインドメール・ステップメール・実績記録の提供
  • 解約防止設計:無料プランの提供、休会制度、再契約特典(カムバック特典)

顧客体験の満足度を中心に据え、継続利用の仕組みを設計すると継続率の向上につながりやすくなります。

⑤ 決済・会員管理などのシステムを整える

リカーリングビジネスには、スムーズで安全な決済と顧客情報管理が行えるシステムが必要です。

  • サブスクの定期課金に対応した決済システム
  • 顧客情報を安全に管理する会員管理システム
  • 継続的な関係構築を支援するメルマガやステップメールの配信システム

などのシステムの整備が求められます。このようなシステムを連携させることで運用効率を高めることで、安定したリカーリングビジネスのサービス提供が行えます。また、システムの安定は顧客体験の低下による解約を防ぎ、トラブルのスピーディーな解決にもつながります

⑥ 集客・販売を開始する

リカーリングビジネスを始める準備が整ったら、ターゲットに合わせたチャネルを活用して集客に取り組みましょう。チャネルとは「経路」「手段」を意味します。

集客チャネルとしては、Instagram・X・YouTubeといったSNSでの情報発信、SEOによる検索流入、Google広告やFacebook広告によるリスティング広告などが代表的です

その他にも、既存顧客やインフルエンサーによる紹介やアフィリエイト制度の導入によって、口コミや評価によった集客も考えられます

新規契約を獲得できた後も、集客の改善には取り組みましょう。顧客のデータを活かすことで、よりターゲットのニーズによりそったアプローチが可能になります。

リカーリングビジネスの規制・法律

引用元: https://pixabay.com/photos/hammer-libra-dish-justice-law-802301/

リカーリングビジネスを行ううえで、理解しておくべき法律・規制があります。以下で、法律・規制・会員情報の管理について、わかりやすく解説します。

適用される主な法律一覧

法律名主な規制内容適用例・対象参考サイト
特定商取引法(特商法)課金前の表示義務、解約方法の明記などWebでの商品・サービス販売全般特定商取引法とは|特定商取引法ガイド
景品表示法誇大広告・虚偽表示の禁止LP、広告、紹介ページなど景品表示法 | 消費者庁
消費者契約法不当な契約条項の無効定期契約の強制・不利な条項など消費者契約法 | e-Gov 法令検索
個人情報保護法個人データの管理と通知義務会員情報の収集・管理個人情報保護法等
電子契約法(民法)電子契約の成立や取り消し要件Web上での契約成立形式電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律 | e-Gov 法令検索
資金決済法前払式課金(例:ポイント制)課金型サービスでのポイント導入時資金決済法について

リカーリングビジネスを行ううえで、これらの法律について理解し、遵守することが求められます。

特に注意すべき規制ポイント

上記の法令や規制を踏まえ、特にリカーリングビジネスで注意すべきポイントについて解説します。

リカーリングビジネスでは、申し込み前に「重要事項」を明示する必要あり

リカーリングビジネスにおいて、契約を行う前に重要事項を明示する必要があります。これは、契約の透明性を担保し、顧客と信頼関係を構築するうえでも重要です。

特定商取引法に基づいて、契約締結前に明示が必要な重要事項としては以下が挙げられます。

  • 事業者の氏名、または名称
  • 住所および、連絡先
  • 商品やサービスの内容
  • 定期的に発生する料金、支払い方法、支払時期などの料金体系
  • 解約方法および、解約条件
  • 契約期間および、更新条件

これらの情報を明示して、顧客が内容をしっかりと理解したうえで契約に同意してもらう必要があります。

自動更新のトラブルに注意

リカーリングビジネスでは、契約期間の終了時に自動更新が行われる場合があります。その際の、顧客とのトラブルにも注意が必要です

そのようなトラブルを避けるために、自動更新に関する規定を定める際は、以下の点を必ず記載しましょう

  • 自動更新の有無と条件の明示
  • 自動更新を希望しない場合の手続き方法の明示
  • 自動更新後の解約条件や手続きの明示

自動更新に関して適切な運用が行われていなければ、顧客とのトラブルやサービスに対する信頼低下のリスクが発生します。

会員データ管理と個人情報保護

リカーリングビジネスは、顧客の個人データや利用履歴といったデータを取り扱います。そのため、強固なセキュリティや情報漏えいが万が一発生した際のリスクヘッジが必要です

強固なセキュリティが必須

顧客の名前・住所・電話番号といった個人情報の漏えいを防ぐには、強固なセキュリティ対策が不可欠です。

個人情報保護法に基づいて、以下のセキュリティ対策は必ず行いましょう。

  • データの暗号化
  • アクセス制限の設定
  • 定期的なセキュリティ監査
  • 従業員へのセキュリティ対策

漏洩した場合のリスク・損害賠償

リカーリングビジネスにおける情報漏えいのリスクとして、顧客データや決済情報などの機密情報の流出が挙げられます。万が一情報が漏洩した場合には、損害賠償の範囲によって数千円から数万円、あるいは数千万円の賠償金が発生する可能性があります

また、事故対応への費用、社会的信用の損失による売上の減少によって、数億円におよぶ損害を被ることも考えられます

そのようなリスクを理解し、万全のセキュリティ対策を行って、リカーリングビジネスに取り組むことが大切です。

解約・返金ポリシーの明示

解約する際の条件や返金に関するポリシーは、特定商取引法に基づいて契約前に明示が必要です。記載の例としては、以下が挙げられます。

  • 解約の期限:「毎月25日までに解約手続きされた場合、翌月以降の課金は発生しません」といった具体的な期限の設定と内容の明確化
  • 解約方法:マイページ・メール・電話など、どのような手段で解約手続きを行うか明記
  • 返金の可否:契約期間中の返金が可能か、またその条件について明示

解約や返金に関する情報を契約前に提供することで、不要なトラブルを避けて顧客の理解と信頼が得られます。


この記事をシェアする